友達とはどんな食べ物なのか ~後~

(ねぇ、姉さん、姉さん。)


(な、何?そんな小声で。)


(あの人、トマトを独り占めしようとしてるんだよ。)


(はぁ?トマト?そんなの持ってないじゃない)


抱えてるだろと言わんばかりにビシッと指をさして伝えると、意味をようやく理解したのか。ハッとした様子で少し間を作り、

顔を少し赤らめて頭にコツンと拳を入れる。


「あれはトマトじゃない!」


「??? トマトじゃ、無い?」


「どうしたんですか?ユリーナ様、そんな顔して。」


「な、なんでもない。」


「トマト抱えてるじゃないかって言ったら殴られた」


「ト、トマト?どういうことです?」


ユリーナ姉さんがコソコソと耳打ちすると

少し恥ずかしそうに


「違いますよぅ、これはトマトじゃないですよぉ」


じゃあ、なんなんだ。と、聞きたいところだが、これを聞くと少しまずいような気もするので聞かない。

これでも勘というものはある。

危ない橋は渡らなければ何も危ないことは無いからな。


だが、こんなことをする仲が友達と言うやつなのか。興味深いな。

それにこの人の表情、誰かに似ている。

あ、思い出した。アフロディーテさんだ。

真っ赤な顔がとてもよく似ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る