友達とはどんな食べ物なのか ~前~
「じゃあ行ってくるー!」
ユリーナ姉さんが朝から元気な声を出して玄関から出ようとしている。
果たしてどこに行くのだろう。
「何処に行くの?」
「ん?友達と遊びにね。アブも来る?」
「友…達?それは、美味しい?」
「食べ物じゃないわよ。人よ人。」
なんだろうそれは。
食べ物でないならあまり興味はわかないはずなのだが。
ちょっと気になる。いや、かなり気になる。
「友達って言うのは、一緒に遊んだり、お話したり、その、仲のいい人のことを言うの」
んー。仲のいい…か。
そう言えばいたなぁ。
[
あの神とはよく遊んだんだな。
その度にほかの神に呼ばれて怒られてたような気がするけど。
大陸4つ沈めればそうなるか。
「アブも一緒に、行く?」
「うん!」
なんだかんだ言ってユリーナ姉さんは面倒見がいい。
そんなことを思いながら駆ける姉さんについて行く。
しばらく走ると家が沢山ある場所に着いた。
これが…村か。
いろんな人がいる。いろんな家がある。
やはりいろんなところに行ってみるのも悪くは無いのだろう。
『あぁ〜。こんにちは、ユリーナ様。』
「こんにちは。パルナさん。」
「だ、誰?友達?」
『おや?見ない顔だけど…君は?』
「この子はアブって言うの」
『へぇ、バルト様の』
アブは別に本名ではないけどな。
「じゃあ、私は用事があるのでこれで。」
と言い残し、家が連なるところまであるいた。
「あ!ティア〜」
「あ、ユリーナ様。こんにちは。」
何だこの人。
なんでトマトを抱えているんだ?
こんな路地で。
トマト……前に食べた時結構美味しかった。
「あれ?この方は?」
「アブスタール・バルトって言います。
アブでいいです。」
「あ、この子がユリーナ様がよく喋っている子ですね?(なんですかこの子めちゃくちゃ可愛いじゃないですか!)」
年はあまり近くないのか?背が高い。
それに私の事を喋っている?どういうことだ?
悪口か。一家の中で唯一あまり序列の高くない私を嘲るように語っているのだな。
うっ…なんで、こんなに悲しいんだろう。
「それは…っ、言わないでって言ったでしょっ!」
「あ、すいません。つい口が……。」
いや、それよりもだ。
あのトマト、独り占めはさせないぞ!
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