1章 バルト領編

元神の困惑

「ん、んぅ……?」


あれ?何故だ?体が…動かないぞ?

何かの呪いか?


………あ、そうだった。私は転生したんだ。


にしても、誰だこの人間族たちは?


気が付いたら私の寝てるそばでずっとニコニコしている人間族の男女がいる。

この人間族たちが私の親となるわけか。


『×<♪:々÷+#〆々〜(可愛いわねぇ〜)』

『々=×○(そうだねぇ)』


ちょっと何言ってるかわかんない。

何語だこれ。バルト領って確かフォルト王国に属していると言ったが、そこで使われている言語は何だったっけか。


確か…メルル語と言ったか?

資料にチョンと書いてあった気がする。

覚えてくればよかったか。

いやでも、貴族の息子になるわけだ。

いくら何でもそのくらいの教養はつけるだろう。きっと…な。


「あいーーー」


それしか言えないのでそう言っているとその人間は嬉しそうに笑っていた。


しばらくして

扉がガチャ、と音を出して開き外からは3人の子供が入ってきた。

これが天界にいた時に見た私の兄弟なのか。


娘二人は母親似なのか。髪色と顔立ちがそれを物語っている。

この幼げな少年の方は髪の色から見るに父親似なのだろう。

全員整った顔つきをしているみたいだが。


そんなことを考えていると、その子供たちは私を見るなり急に頭を撫でてきた。

少しばかり驚いたが、3人とも笑った顔が眩しい。


「あうぅーー!」


結構こんなのにあこがれ転生したんだ。

悪くない。悪くないが!!

少年、さっきからちょっと撫でると言うより叩くといった表現の方がふさわしくなっているぞ。やめっ…た、叩くなっ!


しばらく叩かれたあとその子らは眠そうな顔をしながら部屋を出ていった。


なんにせよ、これからの生活がたのしみだ。




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