夏の終わりで出会う恐怖
その高校生は追われていた。
夏が終わりに近づくにつれ押しつぶされそうな不安によって、何も手がつかなくなっていた。
ソレから逃げきれるものではないと理解できている。
それでも、家族、学校、自分の将来のことを考えると逃げ道がほとんどないように思えた。
追われているのは分かっているが、逃げ道が無いことがよけいに心や感情をすりつぶしていく。
そんな日が続き、ついに追い詰められてしまった。
もう、逃げ道として考えられる方法はこれしかなかった。
ロープを使い輪を作る。
片側を梁にかける。
外れないことを入念に確認する。
丁寧に、丁寧に。
目的のために。
これしか道が無いのだから。
逃げられないのだから。
追いかけられないところに行くしかない。
ロープに手をかけて。
「○○!」
突然に自分の名前を呼ばれて手が止まる。
後ろから抱きしめられる。
母が止めてくれていた。
取り乱しながら、自分の名前を呼び続ける母をじっと見る。
だんだんと憑りついていたものが去ったかのように自分を取り戻していく。
そこで自分が間違った判断を下していたことに気付く。
中学生や高校生の自殺を日別でみると、9月1日が最も多くなるそうです(平成27年版 自殺対策白書)。自殺を選んでしまうことよりも、そこまで追い詰められてしまうことに恐怖を感じます。
恐ろしい話です。皆様もお気を付けください。
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