木陰で出会う恐怖

放課後の部活中のこと。

そのソフトテニス部は野外での練習は20分に1度休憩をとることになっている。

その部員も、その日2回目の休憩時間で、いつものように水筒を置いてある木陰に座り込んだ。

校庭の端にあり、ちょうどよい場所に影を作ってくれるその木は部員にとって重宝されている。

そのとき、一息ついた部員はなにかが近づいてくるような気配を感じた。

しかし、後ろをふり返っても何もいない。

当然、部員は気のせいだと練習に戻った。


3回目の休憩。

またも後ろに気配を感じて振り向くが、何もない。

何もないが、気のせいだとは思えないほど強く感じた。

しかも今度は一緒にいた部員も同じ方向を向いていた。

聞けば、その部員もなにかが近づいてくるような気配を感じたらしい。

これは変だと2人はその場を離れる。


そして4回目の休憩。

この休憩で水分補給をして片付けが始まるが、2人は木陰に近づきたくなかった。

もしも休憩のたびに近づいて来ているのなら、今日の最後の休憩で自分たちのもとにたどり着くのではないか。

もしも、たどり着いたそのとき、自分たちの身に何が起こるのか。

そう思うと、いつもの木陰が何か禍々しい力場を持つかのように自分たちを遠ざけていた。


しかしそれを知らぬ部の先輩は先に行く。そして。

「うわぁぁ」

突然に悲鳴を上げ、腕を抑えてうずくまる。

震える体を抑えながら、ゆっくりと顔を上げこちらを向いた。

その顔を見た2人の部員は、教師を呼ぶためにその場から走り逃げたのだった。



夏から秋にかけて、蜂に刺される方が多くいます。2017年には13人の方が蜂に刺されたことによって亡くなられています。(2018 厚生労働省 人口動態調査)

恐ろしい話です。皆様もお気を付けください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る