第32話 鬼の棲家
鬼は庭の隅の物置の陰に蹲っている。鬼は押し入れの中で膝を抱えている。鬼は天井から覗き込んでいる。鬼は水道の蛇口の中に入り込んでいる。
鬼が3人明け方のコインパーキングでしゃがんでいる。空を見上げている。口を力なく動かしている大きな魚が浮かんでいる。
鯉かな。僕は思う。
死にかけている。
死は空中に充満している。死ぬために生きているのだ。何故、生と死を別のものと考えるのか。渾然一体。
鬼は僕の体の中に溶け込んでくる。
僕はコインパーキングで鯉を見上げている。
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