第10話  そらに咲く

 浮かんでいるのが見える。あれは何だろう。まるい。2つ、3つ、4つ・・・。眩しくはないけど、明るい。

 僕は地面に立っているのだろうか。空中に浮いているのだろうか。

 僕はいままで何をしてきたんだろう。何をしたのだろう。何も無かった。そんな気もする。悲しい。悲しい?自業自得だ。何が悲しいだ。僕は自分を嘲る。嘲る?いい気なもんだ。

 頭がふわふわしてくる。いや、僕の体がふわふわ漂っているんだ。

 目に映るのはまるいふわふわしたもの。見えている?感じている?

 なんだろう?妻が息子が娘が同級生たちの気配がする。気配?違う。同じ空間にいる。いや、それも違う。「僕」という境目がなくなってきて、みんなを感じている?うまく言えない。

 閃光が走った。音はない。また走った。

 僕はいつも閃光に切り刻まれてきたような気がする。別に辛くはない。生きているのは、そういうことだと思う。

 また閃光が走った。その中を一瞬大きな長い黒い影が走った。そして細かい細かい火花が降り注ぎ始めた。火花、ひばな、ひ・はな。

 降り注ぐ。空中に溢れる。地面にも溢れる。火花に埋め尽くされていく。もともと火花は溢れていたのかな。僕には見えてなかったけど。

 火花は僕の目の中にも降り注ぐ。

 火花は降り注ぐ。目の中にも、目の前にも、その向こうにも、上にも、下にも、ずっと、ずっと。

 

 






僕の目の中にあるのかな。

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