第7話 情報共有と考察3

 僕が調べた内容は以下の通りだ。

 銀峰山ぎんぽうざんは終戦直前の鋼鉄が不足していた時に発見された鉱山であり、結局は銀が取れるということで、付近の街が形成されるに至っている。

 しかし、銀山の採掘工程は今の時代と違い、人力作業が多かった当時は危険とは隣り合わせだったらしい。ガスに地盤が不安定な場所の多かった為か、事故死が絶えなかったようだ。

 そこで作られたのが地蔵であるようである。そもそも、地蔵とは西の国から流れてきたものらしく、地の母とかそういった意味であるようで、恩恵を得るために建てられたようである。今の時代から見れば、非科学的であるがその需要は当時はあったということが窺がえる。

 ということで、実際にあった事故について、調査してみると、岩盤の落下による圧死や、有害ガスによる死亡事故、ガスの引火による焼死、閉じ込められて溺死、と確かに事故死の多い山であることが分かった。

「まぁ、今では銀は取りつくされて人はいないし、事故死の怨念とかなんやらでホラースポットになっているようだな。ただその場所は、親愛女学院しんあいじょがくいんの側ではなくて、その反対側で、秋葉の調べたしろがねのむらの方だ。」

僕はグーグルマップでその場所を示す。

「そのホラースポットの噂は聞いたことあります。」

須崎さんがそういうと、親愛女学院のホームページにある掲示板をスマートフォンに表示させる。

 ホラースポットの噂は、至ってシンプルな内容だった。事故死をした魂を納めるための祭りが銀ノ村では夏祭りと合わせて鎮魂祭ちんこんさいが行われていたが、村が過疎化したことにより祭られることもなくなり、彷徨う魂があの世に引き込もうとしているということだった。

「地縛霊の類か。」

眼鏡が言う。

「噂によりその土地に縛られる霊もいるとかいないとかってやつ?」

秋葉が眼鏡に問いながら、おかわりした珈琲に5つ目のガムシロップを投入した。

「秋葉は珈琲に失礼じゃない?」

僕が素直な疑問を秋葉に問うと、

「話の腰を折らないでよ。バカなの?」

と、なんか怒られました。

「まぁ、地縛霊には諸説あるけど、そういう認識でいいと思うよ。」

と、眼鏡は答え、さりげなくまなさんにモンブランを追加注文している。

「まぁ、ホラースポットの話もいいんだけど、色々調べたら、共通する事件があるんだ。」

僕は、銀峰山について調べるにあたって、面白い文献をたまたま図書館にて見つけることができたのだ。『神隠しと時間の遡行』というタイトルの文献であり、簡単に言うと、神隠しが多い場所では、時間の遡行という簡単に言うとタイムパラドックスが散見されるという内容のものである。ちょっと面白いそうで借りてきたので、鞄の中からその書籍をみんなに提示して、付箋のページを開く。そこには【神隠し観測地点集】という題名で、僕らの調べている土地が例として載っていたのだ。

「久遠、共通点が分からないんだが。」

眼鏡が言うので、観測地点の写真の中に三差路にある地蔵の写真を指さした。

「あ、、、え、嘘?これです。私が見たの。」

須崎さんが驚愕したように答える。

「・・・そして、この場所は昔土砂崩れがあったみたいで現在は存在しない。」

僕がそう言うと、みんなは一斉に僕の方を見た。それもそのはず、僕だってこれを見つけた時、鳥肌が立ったのだから。

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