第6話 情報共有と考察2

 秋葉がウキウキとした顔をしている反面、複雑な面持ちで、須崎さんが口を開いた。

「そんな・・・。神崎さんこと眼鏡さんと一緒に調査した地蔵は3体存在します。1つ目は嗤う地蔵。2つ目は泣く地蔵。3つ目は呟く地蔵です。」

「うん。須崎さん。神崎さんだけでいいと思うんだけど。なんで、こと眼鏡さんを付けたのかな?」

「そんなことより、続きを話しましょう。」

「アッハイ。ま、関連しそうな地蔵を探した。参考文献は、古書みたいなのとネット。それとよくわからない怪しい雑誌などだ。それでさらに絞り込んだ。俺たちの住む県内にあるもの。そして、内容が似通っているものだ。」

眼鏡が話を続ける。

 嗤う地蔵は僕たちの住む地域で、昔から存在する噂であるようだ。強いて言うなら似通った噂は、全国に存在するようである。しかし、昔の噂は今のような物騒な話ではなかった。嗤う地蔵ではなく笑う地蔵であり、お告げを見た人物はお告げの通りに行動することで幸福になるというものなのだ。どちらかというと泣く地蔵が今の嗤う地蔵に近い。泣く地蔵は死期を伝える地蔵であり、その姿は死神・黄泉の使いとも記されている。そして、呟く地蔵。これは特殊だった。近くを通る者に呟くから、呟く地蔵なのだが、その内容が意味不明なのだ。すべて伝承の記録しかないのがオカルトらしいと言えばらしいが、その言葉は一言で「ひく」「ひ」「みず」「は」と聞いた人が首をかしげるものばかりだ。

「おい、似通ってる部分がよくわからないのだが。」

僕は眼鏡に質問すると、

「久遠はバカなの?」

と、秋葉が眼鏡のメモにある「伝」という漢字を指さしながら僕を小突いた。

「あー、確かに。何かを人に伝えはしているな。」

僕が頷きながら言うと、須崎さんが言った。

「それもそうなんですけど、この3体の地蔵は私たちの町に全部あるみたいなんです。」

「まぁ、ここでオカ研の俺の知識と併合するとだな、この3体の地蔵は1つかも知れないんだ。」

眼鏡がどや顔で眼鏡を中指で押し上げた。それはまるで、序盤で主人公にやられる頭脳派の悪役のようだったが、あえて口には出さなかった。

「しかし、まだ確証がないので、久遠の調査内容を教えてくれ。」

と、眼鏡が言った。僕は、トーストを珈琲で飲み干すと、

銀峰山ぎんぽうざんは、昔銀が採掘されていた場所なのは名前から推測されるとおりに、銀が出ていた。でも、同時に事故の絶えない場所だったみたいだね。」

と、調べた内容をまとめたメモをスマートフォンの画像とともに説明を始めることにした。

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