第14話 塔に入ったトモバトルルール

「まとめてかかってこいや雑魚ども。まとめて血祭りにあげてくれるわ!」


主人公とは思えない悪役プロレスラーみたいな発言と共にトモが塔の中に入るなり叫ぶ!


「…ってなんだ誰もいねえじゃねえか」


トモはそう言うと通り誰もいない

目の前には無駄に大きなエントランスがあり中央には螺旋状の階段が階ごとに設置されているだけだ。


「んだよ。ビビッて逃げちまったのか?」

「鈍いな。僕はここにいるよ」


と突然トモの頭上から声がした。


「あ?」


トモはガバッと頭を上げてメンチ切る!トモ君の目線の先、ちょうどトモのいる二階の階にロウドとフードを被った人物数人が立っていた。

ロウドは不敵な笑みを浮かべる。


「ふふふ。やはり逃げずに入ってきたか。どうやら失望しないで済みそうだ」

「何余裕こいてんだ。その金魚のフンと一緒に降りてこい」

「連れが人質になっていることで怒っている。やはりね」

「聞いてんのか。うだうだ言ってねえでさっさと降りてこい。炎ぶつけんぞ」

「だがダウメに逆らった罪は重い。与えられた恩に感謝せず挙句に野望を邪魔しようなんて」

「だから無視してんじゃね」


トモは手で炎を作ると容赦なくロウドに向かって炎の球を投げつけた!なんという正確なコントロール!真っ直ぐロウドの顔面向かって炎の球がとんでいく!


「へっガキの頃ストラックアウトでパーフェクト記録をとったことあんのよ。コントロールに自信あんぜ」


なるほど!これで謎にコントロールがいい理由が出たね!さぁ!炎は真っ直ぐロウドの顔面めがけて飛んでいく!


「ふっ!」


ロウドはどこからか剣を取り出すとトモの炎の球を切るのではなく吹っ飛ばした!

バゴンと大きな音をたてて炎の球はホームラン!


「やれやれ本当にしつけが鳴っていない狂犬だな君は、人の話を聞かないで攻撃してくるなんて。まぁあの程度攻撃といっていいのか疑問だけどね」


ロウドは余裕の笑みを浮かべ先ほど飛んでいった炎の球の方向にワザとらしく目線を向けた。


「ほぉ…煽ってくれんじゃん」


青筋を立てながらピキピキと怒るトモにもはや冷静さはない。


「お前を潰すのは簡単だ。今からダウメの四天王と僕が一斉に攻撃すれば君は確実に負ける」

「いや聞けって」

「だけど、それじゃあつまらない。だからゲームをしようと思ってね。君が僕と戦う相手に相応しいかどうか」

「ゲームだと!ふざけたこと言ってねえでさっさと勝負しろ!めんどくせえ!今から階段上って直でぶん殴ってやるわ!」

「落ち着けよ。ルールは簡単だ。この階段を1階ずつ上がって僕のいる最上階にくればいい。もし僕に勝てたらさっきさらった女と君の友達を返してあげるよ」

「だから勝手に話を進めんなって」


そう言うとトモは真っ直ぐ階段を全速力で駆け上がりロウドの元までたどり着くと間髪入れずに殴りかかった。

しかしその拳はいとも簡単にかわされる。


「君は話をきかないな」

「…すばしっこい奴だぜ」


ロウドはため息をついた。


「全く君は、すぐ熱くなる。そうやってると大事なことを見逃すよ」

「……はぁーなんだかあほらしくなったわ」


そう言うとトモは腕をおろした。


「あーやめだやめだ。おまえの言う通りだわ。完全に大事な事を忘れてたわ」


そう言うとダウメがニョキっとトモの上の階の手すりから顔を出した。


「おお!遂に諦めたかぁ。良しそれではお前は今日から私のこぶ…」

「いや、帰るんだよ。異世界とかくだらねえ厄介ごとも面倒になったんだよ」

「ええ!お前何言ってんの?」


トモは踵をかえした。明らかに帰ろうとしている!


「ちょ…ちょまてよ!おまえさー友達みすてんの!おまえの中の心のルールはどうなっての!」

「うっせえな。どうでもいいんだよ。よくよく考えたらお前程度に捕まったあいつが悪いんだ。てめえのケツはてめえでふけってこった」

「はぁ!おまえいいのか!このままお前が見捨てたらあのさらった二人を洗脳してワシの命令でこの世界を征服させるぞ!体には爆弾を埋め込んで!人間ばく…ゲフ」


トモはすぐさま炎の球を作るとダウメの顔面にぶちこんだ!


「ぎゃぁぁ!熱い!痛い!髪が」


ゴロゴロとのたうち回るダウメ。


「ダウメに何をする」


ロウドが文句を言うもトモは背を向けて歩いて行った。えっ本当に見捨てて行っちゃうの?


「元々あいつとは気が合ったからつるんでいただけだ。野郎の為に命かけるなんてあほくせえ」


あれトモ君もしかしてもう一人の人質に女の子がいること忘れてない。


「おい。ちょ、ちょ待てよ!」

「なんだ。今の俺はすっげえ冷静で大人しく帰るっていってんだ。ほっとけ…ってなんだ」


気が付くとロウドはトモのすぐ近くまで詰め寄っていた。その顔は何やら怒っている。


「馬鹿がグダグダといってもバレバレなんだよ。てめえの策なんてすでにわかってんだ。正々堂々とやってやるからかかってこい」

「し、しま…」


怯んだトモの襟を掴むと重心を移動させ二階からぶん投げた!二階から落ち1階中央の噴水で溜まった水瓶に落ちた!バシャンと水しぶきが上がる。

ダウメはロウドに声をかけた。


「なぁいいのか?あいつ逃げるんじゃないかぁ?」

「いや、あの馬鹿は間違いなく僕の所にくる。なんたって去り際のあの目は勝負から退く目じゃなかった。目の前の奴をひたすらボコボコにしてやろうという狂人の目だったよ」

「いや、やばいよそれ殺人鬼じゃん、あんなのよく今までお縄につかなかったな!フィクションでもやべえや」


ロウドの言葉にダウメは啞然とするも


「と、とにかく俺は今のうちにカメとかいう奴とトモピョンの友達に与える能力を考えようかな。あの二人まだ話せばわかってくれそうだしね」

「女はどうするんだい?」

「あーあの子かぁ…」


ダウメはウーンと考えた。


「この世界の住民だし、巻き込まれただけだからなぁ。特に脅威でもないしかといってトモ君を脅す人質としての価値はとんでもなく皆無だし、というかあいつ本当に主人公か?とにかく全部終わったら適当な所でかえしてあげようかなって」

「相変わらず甘いね。まぁいい。だが監視してる奴ら、何か浮かない顔をしていたからちょっと心配になるけどね。まぁとにかく上の階にいこうここだとあの馬鹿の攻撃範囲だよ」

「あっそうだね。よしよしでは上であのトモが痛い目に合うのをじっくり観察しようじゃないか。それにしてもワシの髪今回のせいで薄くナッチャッタヨ」

「それはいつも通りだから」

「えっ!?今なんて!」

「まぁ逃げる準備は想定して置いて。なにかあったら僕が時間を稼いであげるから」

「あっうん。わかった。ところで今なんて…」


ロウドはダウメの言葉を流し階段を上った。トモが自分の所までくる予感をもちながら!


「ぬがぁ!」


ガバッと全身びしょ濡れになりながらトモは立ち上がった。


「やろう!やりやがったな!しかもまた俺を投げやがって!おかげで死ぬところだったじゃねえか!許さねえ!俺様の完璧な作戦も見破りやがって」


あれ君作戦なんてあったの?


「おうよ。帰る振りして塔の壁を登って油断しているあいつらに上から奇襲をかけて全員血祭りにあげる作戦よ」


君は下種キャラというより性格が歪んだキャラだね。


「しっかし、もう作戦は見破られている以上しょうがねえ。お望み通り一人ずつプチっと潰してやる。俺とタイマンを張る恐ろしさ体に叩きこんでやるぜ!」


その目はまるで血に飢えた猛獣!暴君!気合いが入ったトモ!ロウドのもとに行くため立ちはだかる4人の四天王果たしてトモは全員を倒し無事トモを救えるのか!

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