第11話 再開トモ人質
ダウメは裂けた次元の隙間からトモを見下していた。
「わー!なんすかあれ!うわー!」
カメは興奮しながらダウメを指さしていた。下々が驚く姿が嬉しいのかダウメはクフフと笑みをこぼす。
「ククク数時間ぶりだなートモ。見るからに元気そうじゃないか」
気さくに話かけるダウメ。
「ワシはお前のおかげで全身ズタボロだったぞ。だが優秀な部下に治療してもらって万事解決だ……」
だがなっと突如怒りに満ちた顔を浮かべた。
「お前にコケにされた恨みはまだいえとらん!本来こころの広いワシだがここまでされたらむかっ腹が立つ!貴様に受けたこの屈辱!今はらして……ってあらおいどこみている」
ダウメのシリアスモードをぶち壊すかのようにトモは他人事のような顔を浮かべていた。
「あいつだれだ?大吾の知り合いか?」
大吾は首をかしげた。
「いや、あきらかお前の名前を言ってるしお前の客だろ?」
「あー?全然覚えねえや」
トモ君完全に忘れてない?ダウメは身を乗り出した。
「おい!こらぁ!もう忘れたのか!ワシだよワシ!しっかりみろ!」
「ああん?」
トモはジッとダウメの顔を見た。
「ほらよく見ろ!お前のにっくき男だぞぉ!」
「ああーあ!」
トモは手を叩いた。ダウメは嬉しそうな顔をする。
「お!思い出したか!」
「やっぱり知らねえや」
「ダフン!」
勢い余ってダウメは顔面から屋上に落下した。
「おまえ!なんだそれは!あれだけインパクトある日を過ごせばだれだって顔位覚えるだろ!特にワシの顔なんて覚えやすいかおだろ」
「んだよ。馴れ馴れしいおっさんだな。喧嘩売りに来たんなら買ってやるからよ」
「くそまぁいい!お返しすることには変わりないからな!こい我が騎士たちよ」
ダウメが裂け目から声を張り上げるとそこから数人の同じ髪型をした量産型みたいな男達が降りてきて
各々カッコつけて着地した。
「おお!かっこいい!これが自分がなってみたい姿!これが異世界に転移した姿なのか!」
カメは興奮しながらスマホで写真を撮った。
「ふぅまたこいつか」「まったく勘弁してほしいよ」
「かったるいな」「前回よくも利用してくれたね。この借りはかえさしてもらうよ」
「お前らなめすぎだろ」「お前らが普段やってるお遊びとは違うんだ」
「そんな舐めた態度だと死ぬぞ」
全員同じ格好同じ髪型でカッコつけた。
「おいトモ、なんでこいつ同じ格好してるんだ」
「あーしらねえ流行なんじゃねえの」
「なるほど。この前やってたゲームのキャラに似せてるわけだ」
特に恐れもしない普段おっかないヤクザみたいな学校に通ってるトモ達にとっては目の前にいる連中は怖くないのですね。
「うわー僕も言ってみたい台詞!」
カメですらこの態度。流石にムッとしたのか主人公を目指した男達がゆっくりポケットに手を突っ込みながらトモと大吾に近づいていく。彼らの戦闘スタイル!かも
ダウメは笑う。
「ククク!ここでは魔法やら剣やら盾やらは使えんがこいつらの身体能力はガッツリ上げている!トモはともかく隣にいる男は倒せる!」
「あのおっさんこっちみて笑ってるな」
大吾がダウメに気を取られたその隙を突いて
「よそ見してると死だ」
顔面めがけてパンチが繰り出された……バゴン!
鈍い音が響く!
「やったか!」
ダウメが笑うとその笑顔が凍り付く
「おいおい。いきなり殴ってくんなよな。思わず殴り返しちまったぜ」
カウンターの如く大吾のパンチが軟弱男の顔面に当たる。
「おまえ!よくも」
再び男達が近づいてくるも
「おらおらもっと腰に力をいれろよ!」
逆に隙を突かれてトモにぶっ飛ばされた!ギャーっと断末魔が上がる。
「おい。トモ。あれは俺の客だろう」
「いんや俺だね。お前は巻き込まれただけだ」
「はぁー。そうかもしれねえけど。お前はやりすぎんだよー戦い方もきたねえしそれに容赦ねえ」
「ガハハ逆にそれぐらいの方が手も出ねえだろ」
吞気にトモと大吾が会話。余裕だね君達。
「実際こんなヒョロに負けるとかありえねえだろ」
た、確かに、でもまだ立ち上がってるよ。ギリギリだけど
「ギャアアアアア!兄貴達ー助けてくださいっすー」
端っこでカメが追いかけられている。
「おらもっとケツに力を入れてかかってきな」
「こいつはやめておいた方がいいぞ。容赦ねえからよー。襲うなら俺にしておきな」
二人はカメをほっておいた。
ダウメは悔しそうな顔を浮かべる。
「お、おのれぇ!まさかトモの仲間も強いなんて!これが噂で聞くこの世界の侍ってやつか!」
こんな侍は嫌だ。そして数分の虐殺が始まり…
「おいこら。その面見たらやっと思い出したぜ。クソジジイまた性懲りもなく俺に喧嘩売りに来たな」
全てを倒しトモがダウメに掴みかかった。
「い、いやん。トモ君。これはちょっとした冗談みたいなもんだよ」
ダウメはニヘラと笑う。年下にそこまで頭が低いなんて
「うるさい!ワシも死にたくないんじゃ!」
そうですよね。
「ほー冗談なのか」
「そそ、冗談冗談ちょっとしたギャグみたいなもんだよー敵意なんてないよー」
「ふーんじゃあ返してやるわ冗談」
そう言うとトモはダウメの顔面を思いっきり地面に押し付けぐりぐりとスライドさせた。
「ギャーアアア擦れる擦れる!こげる!」
痛そうな悲痛な声。
「こ、このぉ!いただだだ!次の作戦開始だ!作戦開始!」
ダウメは辛うじて手を上げると裂け目から再び量産型男達が顔をのぞかせた。
「おい!お前ら止まれこの子がどうなってもいいのか!」
そう言うと女性に刃物を突き付けた。この女性は……
「きゃー助けてー……ってうわすごい街並み!」
トモにこの間荷車を破壊された女性だ!
「あっ名前はララよ」
ララだ!ララが人質に取られてる!トモ達の動きが止まった。流石に人質に取られてはトモ達も動けない!
酷いぞダウメ!
「ちょっと。きついんだけど!もうちょっと優しくしてよ」
「あっあっごめんなさい」
「それと本当に言うこときいたらお金くれるんでしょうね!」
「も、もちろんですダウメ様がきっとなんとかしてくれると思います」
あっもしかして雇われてるのね。しかしトモ達はそんなことはしらない!
「けーけけけ!どうだートモ。あの子はこの間異世界であった女の子だぞー。可愛らしい子だなーお前のせいで人質に取られてかわいそうに。大人しくワシのいうことを聞けば解放……イデデ!」
トモは気にせず再びダウメの顔面をこすりはじめた!
「ちょいでで!人の話聞いてる!人質だぞ!」
トモは腕を止めてララの顔を見た。そして空いた手で鼻をほじる。
「しらねえ」
かっ!皆フリーズした!
「ちょ!何よ!それ!私のこと知らないって言うの!」
「知らないし興味もねえわ」
「な!なんですって!こうなったのも誰のせいだと思ってんのよ!」
「俺の世界とは関係ないから別にー」
気にしないトモ!ダウメは予想外と驚くも
「キヒヒなるほど!イデデ!これも作戦か!そうだよな!この作品主人公がそんなこというはずないもんな!おい!ワシのいうことを聞かなかったらどうなるか見せてやれ!イデデ」
ダウメは根性で命令を下す。量産型男はララにいう。
「すいません後でヒールをかけるんで少し傷つけます!」
「っち!あとでその分追加料金もらうからね!」
「はい」
そう言うと手に持ったナイフを女性の顔に当てた。少し血が出る。
「ひっ!助けてぇ」
名演技だなララ。流石にトモも反応…
「おらおら!さっさとくたばりやがれ!」
「んぎゃあああ」
容赦なくダウメをいじめていた!酷いぞトモ!それでも主人公か!
「あいつやばい奴だ」
「僕もそう思うっす」
流石の非道さに量産型もカメもドン引きする。
「ええい!なら本当にもっとやるしかねえ!やれ!イデデ」
「ええ!そんな…」
流石にララも不安げな顔を浮かべた。すると
「おいちょっと待てよ」
と声が上がる。皆注目すると大吾がトモを止めて裂け目まで歩いてきた。
「トモ相手に赤の他人の女の子ー人じゃー、人質にはならない。だからよー俺を人質に取りな。女の子が傷つくなんて見てられねえからよー」
大吾が自分を指さした。流石大吾!量産型男達は顔を見合わせた。
「ど、どうしましょうダウメ様…」
訪ねられたダウメは傷だらけの顔を上げた
「どうするも何も…男なんて人質にとっても意味ないと思うけど」
「いや。そいつの言う通りにしてあげなよダウメ」
すると裂け目から一人の男が降りてきた。金髪の髪にブルーの瞳!すらっとした高身長イケメン!
「ろ、ロウドーーー!」
ダウメは嬉しそうな顔で叫んだ!突然トモ達の前に現れたロウド!果たして彼の目的は!
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