第5話 敵トモ逃げる

「 ……ったく異世界とかめんどくせえ」




そう言いながら異世界の森をスポーツバイクで爆走するトモ


どこで手に入れたの




「城の前に置いてあったからマイナスドライバー突っ込んだら動いた」




手慣れれているね。後ろには完全に崩壊した神殿。




「 こーら!トリキタロウのバイクを盗んでいくでない! 


逃がさんぞ!お前はこれで終わりだ!いけ!マゴタロウ!


得意の超兵器魔法で倒してしまえ」


「わかってますよ!」




そういうと彼は両手に火と水をためるとそれを合わせて


一気に放出する。青い閃光!うわーすごい地面がえぐれて木々が


消えていく!




「あんだこれ?リフレクト?」




バイクに設置されたボタンを迷いなく押すと


急にバイクを守るように丸い球体が現れると


先ほど来た青い閃光を難なく跳ね返す。


そしてそれはそのままダウメ達の元に




「あっ…かえってくるよ」




ドカンっとまた吹っ飛ぶダウメ達よく生きてるね


フィクションじゃなかったら死んでたよ。




「それにしてもすげーなあれほどの爆発で生きてるとは


俺もそのよくわかんねーけどチートとか言われる奴に


なっちまったのか……ってそんなことどうでもいい


早く帰らねえと!」




バイクのアクセルを全開に!ありえない速度で走るトモ!




「そういえば出口どこだ」




そのまま真っ直ぐいった神殿だよ




「オッケ!わかった!智治号レッツゴー!」




勝手に人のバイクに名前を付けちゃって。




「それにしてもすっげ自然豊かだなー本当に異世界なんだな


変な生き物いるし」




そうトモの言う通りここは異世界なのだ。


自然豊かで中世の街並み。丘があり山あり谷ありゲームみたいだね


それにしてもかなりのスピード出てるよ大丈夫なの?




「ぐあああ!くそ早ええええ!」




とんでもないスピードで山を下り小さな町に差し掛かっていく。




「うお。なんだ」




馬に乗っていた鎧を着た騎士が驚いた。




「何見てんだこら…って驚くよな。時代がちがうもなー!」


「あわわわわ」


「どうすっか…」




するとバイクのメータが赤く点滅して徐々にスピードも


落ちていくね。




「ガス欠か。使えね」




するとトモのお腹の虫も鳴り響く。


徐々にバイクのスピードが落ちるにつれトモも


バイクのタンクにへばりついていく




「俺の燃料も切れてきた…腹へった」




すると目の前に見えるはこの世界の美味しいそうな


食べ物を売っている露店。


チラリとバイクを見る。




「すまねぇ。智治号。主人がピンチなんだ許してくれよ」


「ブオーム」




何やら返事を返すようにバイクが鳴った。


トモはバイクを露店の前に止める。




「ひゃは」




もちろんおじさんと客もびっくり。




「おい。親父ワリイけどこのバイクやるから


そこの食べ物恵んでくれ」


「えっええ」




おじさんは困惑する。そりゃそうだ。




「なんだよ。けちけちしないすんなよ。結構価値が


あると思うぜ盗んだバイクだけどよ」


「そっそう言われても…それは何に使うのか」


「乗る為だよ。馬より早いぞ!」


「確かに乗って動いたのはみたけど」


「なんだよ。早くしろよ。追手が来ちまうだろうが」




グイグイとトモは近づくと店のおじさんはビビり始めている。


その隙をついて差してあった串肉をかすめ取ると


口に入れ始めた。




「泥棒!」


「うるせえ緊急事態だ。交換したし、安いもんだろ」




店員や客が啞然としている最中黙々と食べる。




「これで俺の燃料はもう大丈夫だが。問題は足だな


バイクはもう使えないからおっちゃんにやってちまったわけだし」




辺りを物色し始める。トモその目犯罪者みたいだよ。




「ブルルル」




すると主人を待っている馬を見つけるトモまさか




「足見つけたぜ!」




すかさず馬に走るトモまさか盗むつもりか!


っと一旦戻ってきて




「おい。おっちゃん中々うまかったから追加でもらうぜ!」


「はい…どうぞ」




おっちゃん何か諦めたのか素直に食べ物を差し出す。




「サンキュー!また会って覚えてたらお返しするぜ」




そう言ってまたすかさず走り出すトモ。




「いつも、ありがとうございます」




丁度その時馬の近くの一軒家から少女が頭を下げて出ていく。




「いやいや。こっちの方こそいつもありがとね。良かったらまた


お願いできる」


「もちろんです」




もう一度ペコリと礼儀正しく頭を下げると少女は馬の方へ戻っていく


するとそこにはトモが馬についている小さな四輪の荷車を


外していた。




「ちょっと!あなたなに私の荷車を外してるのよ!」




声をかけられたトモは「やべっ」と言って荷車を外し終えるとゴロゴロっと


全速力で押していく。




「おお。わりいちょいと借りてく!」


「借りるって!どうゆうことよ」




そう言うと荷車を押して歩く歩行者がいる道を突っ切っていく


窃盗っぷり。




「ちょっと何なのよ!」




手を上げプンプンに怒る少女を見ずにトモは走る。




「待たんか!勇崎智治!」




すると少女の上空を黒い物体がいくつか通り過ぎていく




「…いったいなんなの本当に」




そう言いながら少女は馬にまたがった。




「オラオラ!ピーポーピーポー!緊急車両だ!どけどけ!ひき肉されてーのか!」




主人公とは思えない発言と行動。絶賛炸裂中。


町の人達は驚くと道を空けていく。


荷車をドンドン勢いをましていく。




「そこまでだ。勇崎智治!」


「来やがったなくそやろ……どあああ!」




上空からの声に驚くトモ


上にはダウメとその部下達がとんでいる。




「お前ら飛べるのかよ。ずりいい!」


「そうだ!ここにいるのは皆規格外の能力者ばかり!飛べて当たり前だ!


あっわたしは飛ばしてもらってるんだけど」


「くそ!オタクども目が覚めたか」




荷車を押している男の上を人が飛び男どもの姿に


村の住民が全員驚いた。そりゃそうだ。




「フン。荷車なんか引いて何をしている」


「それはなー!こうするんだよ!」




村を出ると同時にトモは荷車に飛び乗った。


そこからは坂!荷車はすごい勢いのまま下っていく。




「うおおお!はええ!」




物凄い早さで神殿へ向かうトモ




「ぐう!奴め姑息な真似をー!だがその程度で逃げられるはずがない


おえ!選ばれし転移者ども!」


「ラジャ!」っと何人かの声が重なる。




すぐにトモの乗る荷車に追いつくと何人かトモを


狙って火を放つ!




「くらえ!」




寸前にトモは荷車に体重を乗せギリギリかわす。




「あぶねじゃねーか!殺す気か!」


「女の子から荷車を盗んだ男なら同情しなくていいかなって


それに悪は許さないからね」




そう言いながら近くにいた。たまたま通りかかった変わった魔獣を


一瞬で灰にする。転移者達。




「おい。巻き込んでるぞ!」


「あれはA級の魔獣だよ。だから倒してもいいんだ」


「何もしてないのにか!」


「いいんだよ」


「平気で殺せるとか。こいつらヤベー!」




君も言えないよ。トモ




「くそーこうなったら俺も迎撃するしかね!


えーとどうするんだっけな」




グッと手に力を入れると火が噴き出してくる。




「おっし!これでもくらえ!」




トモの放った火の玉を放つ!




「あまい」「きかない」「本気出せよ」




皆軽々しく止める。変な障壁を出して




「てめえら!何全員今の止めてやがる」




トモはそう言いながらぶんぶんと火を投げるも


全く効かない。




「えっと、それ本気か?」「遅すぎ」「はぁ、それで逆らってるの?」


「ってめえらさっきから同じ態度とってんじゃねー!」




拳を握りイライラするトモ。




「じゃあ今度は俺がやるよ」「お返し」「はぁーダル」




それぞれすごい威力の魔法を繰り出した!


ドゴンとその威力で地面がえぐれ。地響きが鳴り


回りの植物は吹っ飛び、生き物も吹っ飛び。雲は割れた。




「どああああ!」




そして荷車もタイヤが吹っ飛びその勢いでトモの


体は宙に舞う。




「てめえら!威力おかしすぎだろ!」




すると全員顔を見合わせた。




「おかしすぎって弱いって意味か?」「また俺やりすぎたかな」


「これぐらい普通だ」「黙って」「それじゃあ生き残れないよ」


「あいつならもっとすごいぞ」




それぞれ口にする。




「全員うぜえええええ!ぐあああああ!」




そう言いながらポチュと崖の川に落ちていく。




「こういうのは完全に殺さないと生存フラグだな」


「追撃しよう」「そうだな」




トモが落ちた後もすかさず攻撃する転移者




「んーこいつらわたしよりやばいかもな。


とりあえず川は干上がらせんでくれよ」




ダウメは小さくささやいた。

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