第3話 助けトモ転移

「ギャアアアア」




先ほどのスーツの男が道路を滑っている。


走る原付の後ろカバーに足首を結ばれ地面に引きずられながら


小さな地元案内をしている。




「はーいここは、うまいラーメンがある穴場スポット!」


「ギャアアアアア」


「ここは、ゲーセン通り!」


「ギャアアアア」


「次は無駄に大きい公園!」


「ギャアアアア」


「住宅街!」


「ギャアアアア」


「ゆっくりできる川!」


「ギャアア」


「花火の穴場スポット!」


「ギャア」


「ここはゆったりできる温泉」


「……」


「やったか?」




やがて男は気絶していた。スーツはボロボロになり


もう二度と着られそうにないだろう




「なんだよ。だらしねえこれぐらい耐えられるだろう普通…


生きてるよな」




心配するならそこまでやる必要ないのに




「うるせえ。俺より馬鹿な大人は体で教えるしかねーんだよ」




息を確認するとトモは胸をなでおろす。




「生きてる生きてる」




するとトモはスマホを取り出し電話をかける。




「おおさっきはどうも。なんか詐欺師捕まえたから


回収しにきてくれねえ?救急車も呼んだほうがいいぞ


えっ危篤?あーなんか電波障害が、ピーガガガガガ」




プッと通話を消す。どうやら先ほどあった警察の人らしいね。


というよりも電話番号を知っているのが不思議だが


そんなつまらない話はやめよう




「さて。無事おろしたし行くかねー時間は…うおおお!」




スマホの時間を見てまた焦るトモ一体どうしたのか




「てめえのせいで無駄な時間食っちまったじゃねーか!」




ドスンと先ほど倒れている男のわき腹に蹴りを入れる


徹底っぷりフィクションでよかった。




「髪をセットしてからいこうと思ったが、


このままでいいかーしかたねえ」




トモは原付に再び乗りなおす




「おい兄ちゃんいい歳してんだから少しはまともな職につけよ」




そう言葉を言い残すとまたかなりのスピードを出して


行ってしまう。君も人のことは言えない。




さて長い間無駄な話をはさんだがここから本編。


何故ともがあんなことになったか




トモは原付を飛ばしてある場所に向かっている。


それは彼の家から少し離れたバス停


トモは近くに原付を止め角から様子を見ながら見張っていた。




「時間的にこの時間だよな」




手に持っているスマホの画面に映っているのは少し遠く離れた


学校の画像。横には年内スケジュールが書いてある。


もしかしてストーカ?と思うかもしれないが近い




何故トモは違う学校のスケジュールを確認したのか


それは数分後にわかる。




「きた」




トモがつぶやいた。その先にバスが停留所に止まると


一人の制服をきた女性が降りてきた。


あらこれまたべっぴんさんだこと


黒髪で制服をきちっときた育ちのよさそうな子ですね




「今日こそは声をかけるぞ」




なるほどトモは彼女に声をかけようとしていたのか


しかしなんて




「無論友達からお付き合いくださいだ」




ええ。いきなり不良の君がそんな言葉をかけると


逃げるのでは?




「一応顔見知りだよ。挨拶程度にはな」




話を聞くと最初にあったのは6月のバスの中しつこく彼女に


ナンパしている輩から助けたのがきっかけ何だってね。


そこからトモ君は彼女に惚れたらしく


同じ時間を見計らっては毎日挨拶していたらしい


以外に結構うぶな奴だね。


それでもうすぐ夏休み夏の思い出作りのため


勇気を振り絞って友達になろうということだ。




「うっし。今日は友達はいない。ベストタイミングだ!」




意を決してトモは角から出て正面にいる彼女の背中に声をかけようとする。




ドックンドックンと心臓音が外に漏れるくらい聞こえる。


唇は渇き手も震えてくる。




「強敵だぜ。今までこんなことなかったからなー」




彼女の歩く速度にどんどん追いついて行くトモ


ほんの数メートルまできた。




「いいっくぞ!」




そしてついに勇気を振り絞って青春のドアを開けようとした時




「なっなんですか」




彼女は突然声を上げた。


慌てて後ろに下がり電柱に隠れたトモ。




「俺まだ、声かけてねえぞ…」




どうやら君の事ではないみたいだよ。


ふとトモが彼女の前を見るとそこには黒いフードを着た


見るからに怪しい感じの人物。




「あれあいつどこかでみたような…」




カメが言っていた人物だよ。




「ああ!そうだった。なんかもやしみたいな男を誘拐したっていう」




思い出したトモはもう一度フードの人物を確認する。




「なんだ。思ったよりちっこい奴だな。あんなの


ワンパンで終わりそうだな。にしても何をやっているんだ」




彼女はフードの人物から離れようの後ろに後ずさる。


するとフードの人物はそれに近づく




「ええ。なんなんですかあなた!」


「…美女ヒロイン!ヒロイン」




ぼそぼそと気持ち悪い声を発しながら。彼女に手を出そうとする。




「あいつ!もしかして俺と同じ声をかけようとしているな!」




トモは慌てた様子で彼女のところに走る!




「おいこら!てめえ!抜け駆けなんてずるいぞ!」




すごいモブっぽいこと口走り横入るする




「えっ」


「ほげ?」




声に反応した彼女とフードの人物が振り向く!


その顔は鬼のように怒り狂ったトモ。


そして彼女をかばうように前に出ると


彼女に手を伸ばしたフードの人物の手を取った。




「うえ!なんだこいつの手ヌメヌメで気持ちワリイ!


ていうか!声をかけるならフードくらいとれや!ごら!」


「ひえ!なんだこいつ!」




フードの人物は声をもらす。低い声明らか男の声だね。




「んだ。気持ちワリイ声だな」


「ひ、ひいい。不良だ。放してください!」


「なんだと!てめえが先にこの子に声をかけようとするからだろ


ていうか!何をしようとしたんだ!こら!」


「いや。同じ異世界出身でヒロインが欲しくて…」


「ああ!なにぼそぼそ言ってんだ!ハッキリ言えよ!」




手を引っ張り自分の所に引き寄せると胸ぐらをつかみ


持ち上げる。




「ひいいい!殺される!」


「殺さねえよ!」


「だったら放してください!もうすぐ転移してしまう!」


「ああ?また何気持ち悪いこと……あっ」




するとフードの男の足元から魔法陣が出てくると


地面が光始める!




「ああ。ダメだ!主様ダメですこいつじゃありません!」


「おいこれどうゆうことだ!説明しやがれ!」


「だから手を放してくださいよ。今ならまだ間に合います」


「そう言って逃げる気だろてめえ!それで俺がいなくなった後


またあの女性に手を出すつもりだろ!」


「ひいい。出しません。もう二度と関わりませんから」


「近づかないのをプラスしな!」


「近づきません!近づきません!からぁぁぁ!ああもう


間に合わないぃぃぃ!ダメだこんな怖い人連れてきちゃ!」




すると光は徐々に強くなる。あれトモ君足が消えているよ




「消えてるだと……うおおお!俺の足がなくなってる!」


「だから言ったじゃないですかー」




そしてドンドンと光が強くなり太もも胴体が


消えていく。


気づくと男の姿も既に消えているね。




「ふは!お前が先に消えるのかよ!てぎゃぁぁ消える!


くそ!俺はここまでなのか」




トモが後ろを振り向くと女の子が心配そうに見つめている。




「逃げろ!一緒にいたら巻き込まれる!」




必死な表情で彼女に訴えかけるトモ。




「でっでも!」


「いいから!君は逃げるんだ!」




トモの必死な訴えに女の子が首を下げ




「かっ必ず助けを呼んできますから」




そう言って走っていってしまった。




「……よし。それでいい」




トモは何か成し遂げた顔をすると手を脱力させ


消えゆく体を眺めた。




「ああ。思えばほとんど暴れてた人生だったな


好きなように生きてなーくっ心残りは告白できなかったことか!」




既に顔が消えていく。




「くそ!じいちゃん!ばあちゃん!俺がいなくても


強く生きろよ!騙されないでくれよ!」




最後まで自分のお爺さんとお婆さんの心配も忘れないトモ


それを最後に言葉に彼の姿は光と共に消えてった。




ああ。悲しいこれが主人公の最後とは!嘆かわしい




と言いたいところだけどそうじゃない彼は生きている


それが冒頭のあのシーンに繋がるのだ!

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