第2話 家族トモ悪党
ということで学校の裏門の柵を越えて見事脱出したトモは
近所にある瓶内というネームプレートがついている家の庭にたどり着く
「確かこの辺に…おーあったあった」
家の端に置いてある赤い原付バイク。
タンクの所にはシャナ3っと深く掘られている。
ハンドルを掴むと遠慮なく出口まで運ぶトモ
「おや勇崎君じゃないか、学校はもう終わったのかい」
家の窓を開け瓶内に似た顔の父親が顔を出した。
「おっす。カメの親っさん。まだ終わってないぜ
今日は早退だ」
「早退?具合悪いのかい?」
「んなわけないしょ。用事があるんだつうことで原付借りてくぜ」
そう言うと原付にまたがりエンジン音と共にすっ飛んで行ってしまった。
「気を付けて行くんだよ」
後ろで手をふる瓶内の父親。止めなくていいのか
「彼は息子の命の恩人だからね。絡まれた僕も助けてくれたし
できる限り協力しているんだよ」
っと語っている。
他にも彼が原付に乗っているとおじさんおばさんに
気楽に話かけられる
「おう。勇崎さんちのお孫さんまた喧嘩か?頑張れよ」
「あらトモ君今日も元気だねー」
そう彼はやっていることは普段から滅茶苦茶だが
泥棒を捕まえたり絡まれている人間を倒したりと
ちゃんと主人公みたいな善行を積んでいた。
「まぁ全部気晴らしだけどな」
口が汚いのが偶に傷。しかしもちろんみんなが全員彼が
好きなわけではない。そんなにスピードをあげてたら
どうなるかわかるよね。
後ろからパトカーのサイレンが鳴っているよ
「ごらぁぁ!またおまえか!」
「げっいつものマッポじゃねーかついてねー」
止まる気配もなくパトカーに並ぶ
「よう。警察さん元気」
「元気じゃない!スピード出しすぎだ」
「ワリイな。今日は急ぎの用事があるんだよ」
「急ぎの用事?ふざけるな今日こそは捕まえるぞ」
するとトモは目元に手をやった。
「俺とこの爺さんが危篤なんだ」
「なんだと!それは大変だ!よし許す!気を付けて行くんだぞ」
「おう。サンキュウな」
そのまま原付の速度を上げていってしまった。
いいのか警察。
「後輩は大事にするもんだぜ」
隣に乗っていた警察はいつもの事らしく深くため息をついた。
そう彼はなんだかんだ町で自由に生きているのだ
そんなワイルドな彼だが彼にも勝てない敵がいるそれは
彼が家に入るとわかる。
トモは家の前に原付を止め玄関に向かうと
そこには一人の男が立っていたスーツを着ているも
何か怪しい感じ
そして応対している気の優しそうなお爺さんとお婆さん
トモは聞き耳をたてる
「ですからキャッシュカードを取りにきたんですよ。
銀行のカードっていえばわかりますか」
男は少し困った様子で話している。
「はてー健康のカード?どこにあったかなぁ」
「じいさん。もしかしたら棚に置きっぱなしじゃありませんか」
「おおそうか。そうか」
おじいさんはよろよろとゆっくりした動作で玄関から離れていく
男はイライラしているね
「ちゃんと聞いてんのか。電話かけたはずですよ。銀行のカード番号が
変更されるから今日とりに行くって」
おじいさんは驚いた顔をしてお婆さんを見た。
「はぁ。婆さん、そんな電話いつもらった」
「何をいってるんですかー爺さんがとったんですよ」
「そうだったかなー」
二人は空を仰ぎ見る。
「両方に言ったぞ!いいからカードをよこせ」
男の口調は荒くなっていく。明らかに詐欺師だね
そんな様子を見ていたトモはためいきをつく。
「まーた。うちに変な詐欺師がきてるな。仕方ねえ」
そういうとトモはサイドミラーで髪を整え始めた。
あらかた準備を整えると家の玄関にそのまま向かう。
「早くしろよこっちは立て込んでるんだよ!」
「そう言われてものー。ん?おお帰ったかトモお帰り」
「お帰りとも今日は早いんじゃの」
お爺さんとお婆さんは、スーツを着ている男から目を離し
後ろに立っているトモに笑顔を送る。
スーツ男は冷や汗をかきながらゆっくり首を後ろに向けた。
「ただいま」
先ほどの荒々しい口調と違い器用にも爽やかな声で笑顔を
向けるトモ。君こんな顔できるんだね
男は目を点にしながらトモを見つめている
「お客さん、一緒にくらしている孫の智治じゃ」
「トモは私たちと違って頭のいいこじゃからの」
「婆さんやここはトモに任せるべな」
「そうしようかのー爺さんカードとか若いもんの事は
よくわからないからのう」
「トモや後はお願いしてもいいかのう」
するとスーツの男はさたくさと外に出ようとしたが
トモはそいつを逃がすはずもなくガッシリと腕をつかんだ。
「てめえ!クソガキなめてんじゃ……ギャフ」
「うん。任せてよ。僕はこの後勉強会にいってくるから」
トモはうまい具合に相手のみぞおちに拳を差し込む
スーツの男は苦しそうにパクパクしている。
「それじゃ頼むのーいやー優秀な孫を持つと楽でいいのう」
「頭がいい子じゃから将来楽しみですじゃ」
「いつか世界を背負って立つ男になるんかのう」
「そうすればワシらも年金だけの生活ももっと楽になりますね」
お爺さんとお婆さんはトモがとんでもない不良だとは知らない
二人が奥に行ったことを確認すると男を無理やり引っ張り玄関に
出ると首を掴んで壁に叩きつけた。
流石に苦しい男は悲痛な表情を浮かべる。
「おい。クソ野郎。あの家に手をだすたぁ。いい度胸じゃねえか」
「ごほ……おまえ何もんだ」
「俺の事を知らないとなると地元の人間じゃねーな。丁度いい
少し時間があるから途中までこの街の観光案内してやるぜ」
「ひっ何するつもりだ!」
ニヤリととても主人公だとは思えないとんでもない表情を浮かべる
トモ君であった。
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