第1話 日常トモ付き合い

とある男子校


皆授業を真面目に受けている中


屋上で何やら2人の生徒がいる。




「将来だぁ?」




どこかで拾ったのか割と綺麗な枕に寝ころびながら


不機嫌そうな声をだす。この男




この柄の悪いのが主人公




『勇崎ゆうざき 智治ともはる』である。




そしてその隣に胡坐をかいて座っているのは


根元まで染めた茶色の髪でちょいとイケメン




『城ケ崎 大吾』




智治の数少ない友人である。




「そうだ。そろそろ考えてもいいんじゃないか」




すると大吾は手に持っている大学とデカデカと書かれた


分厚い本を見せつけた。


しかし当の智治は興味ないという態度で鼻をほじった。




「興味ないねー」


「いうと思ったよ」




大吾は呆れ顔




「そもそも俺の成績で入れる大学なんてないだろ」


「そうか?おまえんちそこそこ金持ってるし大丈夫じゃね?」


「俺の金じゃねーからな。それなら就職するね」


「はー今の時代大学行かないで就職するって大変そうだけどな」


「そんなこと恐れていたら不良なんてやってねーよ」


「おっ確かにトモにしては冴えてるー」




ガハハハっと二人は笑った。


正直笑い事ではない。


因みに大吾は我ら主人公のことをトモと呼んでいる。


これからは私たちも彼の事をトモと呼ぼうじゃないか




「でもさ。俺らも高校三年だぜちょっとは将来の事


考えないとだめだろ?」


「また今どき不良なんて流行んねーって話か?」


「そうそう。ここはいっちょインテリ思考な真面目になるのは」


「馬鹿学校いってる時点でインテリじゃねーな」




すると屋上のドアが開いた。




「アニキーカップ麺と飲み物買ってきました」




眼鏡をかけてなよなよした男が入ってきた。




「おせーぞ。かめ何やってたんだ」


「いや、何って丁度授業が終わったところっすよ」


「そんなもんサボればいいだろ」


「兄貴と一緒にしないでくださいっす」




彼は『瓶内かめうち 三郎』




彼はトモの年下の後輩であり……パシリ




「舎弟!っす」


「おめえ何言ってんだ」


「ああいや!何でもないっす。これどうぞ」




瓶内は首を振り否定すると手に持っている


カップ麺を手渡した。




「おっ今日は何味だ」


「兄貴の好きなシーフードっす。お湯は少なめに入れてきました」


「なんだおめえもわかってきたじゃないかー」




よだれを垂らしながらトモはカップ麺を受け取った。




「かめ。お前こいつにこんなの渡す必要ねーんだぞ」


「いいんすよ城ケ崎先輩。僕お二方がいるおかげで


今もこうして学校に通っていられるんすから」




瓶内は手で頭を撫でた。




瓶内君の言う通りトモの通う学校は地元の人間なら必ず知っている


おっかなーい学校なのである。


偏差値はかなり低く誰でも入れるけど顔に傷を持った先生や


生徒たち漢だらけの学園死活を味わうことに…


そんな中でこの二人トモ君と大吾君は三年間戦い抜き


今現在。全校生徒、一部の教師すら文句の言えない立場を


勝ち取った。


えっこんなの現実にあるわけがない?


奥さんこれフィクション小説よ。




「いやー僕は運がいいっす。入学初日に絡まれたところを


兄貴達に助けてもらって」


「そもそもその見た目でこの学校に来る方がおかしいだろ」


「こう見えて自分この学校くらいしかいけないって教師から言われました」




テヘヘと頭をかく瓶内だが少し経って涙する。




「うぐ…本当は共学の高校に入って彼女作ってバラ色の


学園生活を送るつもりだったのに」




それを横目にトモは何か思いついた顔をする。




「今じゃ真っ赤なバラ色だもんな」


「おっうまい!」




ガハハっと大吾と笑い合う。




「うまくねえっすよ!」




涙を滝のように流しながら我々の代弁をしてくれるカメ


こんなダラダラした学園生活をいつも送る三人


ある意味青春ですね。




「そう言えばお二方。この辺りのオタ校で行方不明者が続出してる


話知ってます?」




仲良く昼飯を食べている時。瓶内は何か思い出したように話す。




「知ってる。最近ウチの生徒や教師がよく疑われているの話を


耳にするからな」


「なんだそれ」




はじめて聞いたような顔をするトモ君




「隣町のオタク生産高校の生徒が突然消えたように


いなっくなったらしいんすよ。これその時の映像らしいっす」




瓶内はスマホを取り出すとその時の映像を流した。




「近所の監視カメラに映ったらしいっす」




映し出されたのは、ヒョロヒョロしたもやしの男が歩いていると


突然黒い布を被った人物が現れ肩を掴むとそのまま


その人物と一緒にもやしの男も消えてしまった。




「この男子が行方不明になった生徒って話っす。


前にも同じようなことがあったらしくて


噂ではあのまま異世界に連れていかれたんじゃないかってってあれ」




瓶内君が気がつくとトモも大吾も特に興味なさげに


それぞれ過ごしていた。




「ちょっと二人共さめすぎっすよ」




瓶内の言葉に二人は顔を見合わせると盛大にため息をついた。




「だってよーそんなの作りもんだろ?俺は興味ないね」


「話題作りの為に作ってそれを見た奴がありもしない話を


ネット界隈で尾ひれつけて話てるだけだしな」




その様子にカメはがっくりする。




「もう二人共夢ないっすね。異世界転移っすよ。きっとありえないぐらい


チート能力をもらって女の子に囲まれて楽しく生きられる


男の夢じゃないですか!」




トモは興味なさげに鼻をほじる。




「今でも非現実な生き方してるのに何言ってんだ」


「トモそんなメタなこと言わない」




大吾君の言う通り。




「大体現実でもまともに生きられない奴が異世界行ったらうまく


生きられるもんかね?」


「うっそれは何とかなるっすよ。異世界はそれぞれ文化や法律も違いますし


なにしろ冒険があります」


「じゃあ海外にでも行くんだな。俺にとってはあそこも異世界だから」


「魔法とか使えるっすよ」


「魔法ねービューンヒョイか?」


「それホグワーツの授業っす」




瓶内はため息をついた。




「兄貴、僕が貸したゲームちゃんとやったんすか?」


「あーあれか」




そう言うとトモは大吾を指さした。




「悪い俺が今やってる」


「又貸しされてた!まぁいいっすけど」




ガクンと瓶内は肩を落とす。




「カメ、こいつにオンラインゲームなんて合わないって」


「そんなことねーよ」


「そうか?お前の事だからネットの奴らと喧嘩しそうだけど」




うっと返答にこまるトモ。図星ですね。




「兄貴ちゃんと覚えた方がいいっすよー」


「なんでだよ」




ちょいと不貞腐れて声を荒げるトモに瓶内は


ドヤ顔する。




「もちろん異世界行った時に役に立つっすから」




その発言にトモは呆れる。




「なんでたかがゲームの知識が異世界行ったら役に立つんだよ」


「えー兄貴。アニメ見てないんすか?俺ら見たな高校生が


異世界に行くとゲームみたいにアビリティとかスキルとか


高いレベルで手に入るんすよ。そんな時役に立つのが


ゲームがうまい奴って相場が決まってるっす」


「お前の好きなアニメや漫画は主人公にとって都合のいい世界


なんだな。それは楽しいわけだ」


「またまたー男の夢っすよーお嫁さん沢山もらって


ウハウハ、ハーレムいいじゃないっすか」




フンと興味情け気にトモはそっぽ向いた。




「なにがハーレムだ。そんなのメンドイだけじゃねえか


俺だったら自分の好みの女と……どああああ!」




何かを思い出したのかトモはカップラーメンを放り投げ


叫びをあげた。その様子に隣にいた大吾は驚いた。




「おい。突然騒いでどうしたんだ?」


「そうっすよ。もしかしてハーレムについて……アッチャチャチャ」




ちょうどさっき放りトモが投げたカップ麺が瓶内はの頭に直撃する


まだ熱々。つゆいり!リアクション芸人よろしくの面白い反応。


だが残念ながら二人は気にしない




「忘れてた。俺今日はもう帰るわ」




トモはポケットに入っているスマホを取り出し時間を


確認すると慌てた様子で立ち上がった




「なんだ。午後の授業でないのか」


「ああ、ちょいと野暮用でね一回家に帰るわ」


「もしかしてお前のとこの爺さんと婆さんに何か?」


「いや。ボケてはいるがいたって健康よ」


「ふーんそれはよかった」


「つうことでカメ、お前のウチに寄って原付借りていくぜ」




そう言うとトモは屋上を出入りしている窓まで走っていった。が


窓の前で立ち止まり後ろを振り向く




「男をみせてやるぜ」




グッ親指をたてスルリと窓に入っていった。




「アチチチチって兄貴は?」




先ほどまでのたうち回っていたカメが正気を


辺りを見渡した。




「帰るってさ。お前の原付借りて」


「ええ。また僕のシャナ3号に乗っていくんですか


はぁまた魔改造されて戻ってくるのかぁ」




ガクリと膝をつき瓶内は落ち込んだ。




「それにしても急になんなんですかね


来週から夏休みだっていうのに」


「さぁな。男になるって言ってたから喧嘩かもな」


「それこそ僕のシャナ3号が戻ってこないと思うんですが…


はっもしかしたら夏休み前ですし愛の告白だったりして」


「愛の告白ぅ?」




大吾は少し考えるも手を横に振った。




「ないない。あいつが告白するなんてたまかよ」


「そっそうっすね。兄貴にそんなの似合いませんものね」




アハハと笑う瓶内。




「ところでどうっすか僕が兄貴に貸したオンラインゲームは?」


「あーまぁ面白いな。チョイと作業感あるがネット仲間っていうの?


そういう顔の見えない奴と楽しくやってるよ」


「流石。大吾先輩っすね」


「けど。なんかあれ一回ボイスチャットってのやってから


やたらとゲーム誘われるんだよな。うまく断りたいんだがどうすればいい?」


「……そんなの僕がわかるはずないじゃないです。


というか羨ましい!」




カメの悲痛な叫び声。頑張れカメ君!君が主人公になれる


その日まで

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