第4話 本当の兄妹を目指して
学校をあとにした俺たちは、近くのスーパーでニンジンやらキャベツやらを買って新戸家へやってきた。
「和真さん、これ、つまらない物ですが」
我が家に着いてリビングへ案内したところで瑠依花ちゃんが手土産のケーキとジュースをくれた。
「そんな、手土産なんて良いのに。ありがとう、瑠依花ちゃん」
「あの、ケーキなんですが、ご家族の方が何人いるか分からなかったので四つにしたんですが足りますか?それと、ジュースも好みが分からなかったのでリンゴジュースとオレンジジュースにしたんですが大丈夫でしたか?」
「あぁ、瑠依花ちゃんは星華から聞いてなかったんだね。俺と星華はここで二人で暮らしてるんだ。だからケーキは足りてるよ。蒼馬と星華ちゃんと俺たちの四人で食べよう。ジュースの方も大丈夫。ごめんね、いろいろ気を使わせちゃったみたいで」
「いえいえ、大丈夫そうなら良かったです。お二人は二人暮らしだったんですね」
瑠依花ちゃん、ケーキの個数は分かるけど、ジュースの味にまで気を使ってくれていたとは!!
「瑠依花ちゃん、私たち兄妹には気なんて使わなくて良いんだよ♪」
お昼ご飯を作っている星華が味見用の小皿を俺に手渡しながら瑠依花ちゃんに話しかける。
流石妹というところか、まさに俺が言おうとしたことを言ってくれた。
「そうそう、俺も蒼馬に気なんて使ってないしな」
俺は星華に片手でオッケーの形を作って『美味しい!』と伝える。
「気遣いなんかしなくても和真は気配り上手だけどね」
「それは無意識だな」
俺と蒼馬がそんなことを話していると、星華が完成した焼きそばを四つのお皿に盛り付けを始めた。
「あ、できたか瑠依花、お疲れ。お皿運ぶのの手伝うよ」
「うん、ありがとうお兄ちゃん♪」
「ほらね、瑠依花。和真はああやってさり気なく気を使える人なんだ」
「本当ですね、私も見習いたいです!」
焼きそばを食べ終わった俺と蒼馬は飲み物片手に雑談をしていた。
「そっか、和真と星華さんはごく普通の血の繋がった兄妹ってわけじゃなかったんだね」
俺は蒼馬に、妹との兄妹関係について話した。
一番仲の良い蒼馬にはいつか話そうと思っていたからちょうど良かった。
ちなみに、星華と瑠依花ちゃんは星華の部屋で話をしてくると言ってさっきリビングを出ていった。
お互い妹である星華と瑠依花ちゃんには、兄には言えないような不満や愚痴もあるだろう。
「なあ蒼馬、血の繋がりがない兄妹の二人暮らしってアリだと思うか?」
二人暮らしを始めてしまっている状態で聞くのは今さらな気もするが、俺は当然のことを聞いてみる。
これは星華がいない今しか聞くことはできない。
「アリだと思うかっていうのは、おかしいと思うかおかしくないと思うかってこと?」
俺が無言で頷くと、蒼馬は少しの間沈黙して考えていた。
「僕はおかしくないと思うよ。確かに少し複雑だとは思うけど、それって結局は当人たちの気持ち次第だからね。和真が二人で暮らせると思ったならそれで大丈夫だと僕は思う、かな」
「そうか……そうだよな」
俺は蒼馬にお礼を言って立ち上がると、コップに入っていたオレンジジュースを一気に飲み干して二人暮らしに対する決意を、より固いものにした。
「あ、でも和真」
と、俺が意気込んでいると蒼馬が話し掛けてきた。
「なんだ?」
「いくら兄妹の二人暮らしだからといって、星華さんのお風呂とか覗いちゃだめだからね?」
「覗かねーよ!!」
そう言いながら俺は、洗面所とお風呂場の前の扉には『使用中』の掛け札を掛けるようにしよう、と思うのだった。
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