幕間① 妹の本心
お昼ご飯を食べ終わった私は、瑠依花ちゃんに声をかけて自室に移動した。
「ごめんね、瑠依花ちゃんにちょっと頼みたいことがあって……」
私が瑠依花ちゃんを自室に連れ出したのは、ずっと誰かに話したかった、相談したかったある想いを打ち明けるためだった。
「瑠依花ちゃん…………」
私はそこで一度言葉をとめ、ゆっくりと、しかし確かな声で紡ぎだす。
「私、お兄ちゃんが好きなの……」
言ってしまった………。
今考えてみると、どうして私は会って間もない瑠依花ちゃんに打ち明けたのだろう。
しかし、いくら考えてもその答えは出てこない。
「…………そっか。一応確認だけど、お兄ちゃんて、私の兄の蒼馬くんかな?それとも………星華ちゃんのお兄さんの和真さんかな?」
「………私のお兄ちゃん」
私は最初とは打って変わって、か細い声で答える。
すると、瑠依花ちゃんはニコッとしてから優しい口調で問い掛けてくる。
「そっかそっか………。少し驚いたけど、良いんじゃないかな♪」
「………えっ?」
勘違いだろうか、瑠依花ちゃんは今なんて………。
「法律上、兄妹で結婚ってわけにはいかないかもしれないけど、好意を向けるのは自由じゃないかな」
瑠依花ちゃんがそう言ったところで、私はまだ特殊な兄妹関係について話していなかったことに気がついた。
「瑠依花ちゃん、私とお兄ちゃんは本当の兄妹じゃないの━━━━」
私は瑠依花ちゃんに特殊な兄妹関係についての全てを話した。
瑠依花ちゃんはまだ理解しきれていないのか、顎に手を添えて斜め上を見て考えている。
そしてしばらくすると瑠依花ちゃんは、
「その兄妹関係、利用しちゃえばアタック出来るんじゃないかな♪」
と、訳の分からないことを言ってきた。
「ど、どういうこと?」
私は当然の質問を返す。
私はてっきり、『和真さんが本当の兄妹になりたいと思ってるなら、諦めるしかないんじゃないかな』みたいなことを言われると思っていた。
そこに、『逆に兄妹関係利用しちゃえ〜!』と言われたのだ、それは混乱して当然だろう。
そして瑠依花ちゃんはなぜだかハイテンションだ。
「星華ちゃん、和真さんに好きだって言わせたいでしょ?だったら兄妹の二人暮らしっていう現状を利用しない手はないよ♪」
そんなハイテンションな瑠依花ちゃんだが、確かに言われてみればその通りだ。そして、無意識のうちに似たようなことを既にファミレスで実行していたことも思い出した。
「そ、そうだよね………!利用って言うと聞こえは悪いけど、『お兄ちゃんに甘えるのは妹の特権』って感じならどこの家でもやってることだもんね!」
「そんなことはないんじゃないかな〜あはは…………」
どうして瑠依花ちゃんは笑ったのかイマイチよく分からないが、そんなことはこの際どうでも良い。
「瑠依花ちゃん、私頑張る!話聞いてくれてありがとね!」
私はそう口にすると同時に、瑠依花ちゃんて面白い子だな〜と思い、そして、これからの兄妹生活を最大限に利用していこうと心に誓うのだった。
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