第3話 生配信【夏の質問コーナーと告白】
—1—
『あーあー聞こえてますか?』
用意したカメラの前で手を振り、テーブルの上にセットしたパソコンで
【始まった!】
【聞こえてるよー】
【ミソラちゃん、画像見たよ】
【今日は何時まで放送するの?】
『よかった。聞こえてるっぽいね。えーっと、今日は8時くらいまで放送する予定です』
時刻は夜7時をちょっと過ぎたくらい。ミソラチャンネルの投稿時間に合わせて今日は生放送をすることにした。
『早速、今日の生放送でやる企画を発表したいと思います! と言ってもSNSで告知しちゃったから皆知ってるか。はい、そうですそうです。正解です!』
生放送のコメント欄に【質問コーナー】という言葉が凄い勢いで流れている。
さすがミソラチャンネルの視聴者。私のSNSをしっかりチェックしているようだ。
『今日は年に2回の特別企画。夏の質問コーナーをやりたいと思います! 皆にはミソラに訊いてみたい事を事前にSNSで募集してました。今日はその中からいくつか私が答えられる範囲で答えたいと思います。はいそこ! ブーイングしない。出来る限り答えるようにするから』
私の一言一言に視聴者がリアルタイムで反応する。
コメントを見ているだけで面白い。
動画のコメントにほどよく反応して視聴者とコミュニケーションを取りながら、SNSに寄せられた質問を探していく。
『んじゃ1つ目の質問。部活は何部に入ってるの? えっと、別な動画でも何回か話した気がするけど、私は帰宅部です。中学校の時はバスケ部に入ってました。動画投稿者ってずっと家にいるイメージがあると思うんだけど、私の場合は日中は学校に行ってるから引きこもりってわけじゃないかな』
『はい次、最近ハマっていることは? うーん、難しいね。毎日欠かさずやってることだったらスマホのアプリなんだけど、リズムゲームかな。そうそう! 最近アニメもやってたやつ!』
スマホの画面をスクロールして次の質問を探す。ちょっと過激なやつが多いな。生放送だから色々気を付けないとアカウントに警告が来ちゃう。
『経験人数は何人? 内緒……』
【あっ、これはやってるな?】
【ミソラちゃんレベルになると逆にやってない方がおかしい】
【ちゃんと答えてよー】
【SNSに出回ってる画像について説明求む】
コメント欄が少し荒れてきたから早く次の質問を探さないと。
えっと、何かちょうどいい質問無いかなー。
『身長と体重教えて! 身長155センチ、体重は46キロ。どう? リアルでしょ(笑)?』
『そろそろ最後の質問にしようかなー』
【えー】
【まだ早くない?】
【もっとやろうよ】
どうやら視聴者はまだ物足りないみたいだ。
でも、今日は他にも話したいことがあるからここら辺で切り上げなくては。むしろ私にとっては質問コーナーの後が本番なのだ。
現在の視聴者数は2500人。
本題に入る前にもう少し視聴者を増やしておきたい。ここで1番過激な質問をぶつけるしかないか。
『ミソラちゃん、ズバリ何カップですか? こういう系の質問がめちゃくちゃ多かったです。もう断トツで。そんなに訊きたいですか?』
【誰だよ質問した奴】
【お前だろ】
【おっ、これは言ってくれる流れか?】
【動画で見る限りそこそこ大きいよね】
【訊きたいでーす!】
【はよ】
『みんな、えちえちだなー。今後質問コーナーやる度に同じ質問が来てもあれなんで今日だけ言います。1回しか言わないからね』
視聴者数が3500人を超えた。
どうやら生放送のランキング30位以内に入ったようだ。今も視聴者数がガンガン増えている。
『D、惜しい。G、そんなに大きくないよ。正解はEです! はい、それじゃあ、夏の質問コーナー終了~カンカンカンカン~』
【Eか。やっぱりデカかったな】
【顔も可愛くて胸もデカいとか最強かよ】
【ミソラちゃんに敵無し!】
【まだ時間余ってるよー】
【で結局SNSに出回ってるやつなんなの?】
『そうだね。8時までまだ15分あるね。えっと、コメントにも書かれてるけど、SNSに出回ってる画像の件も含めてこの場で告白させて下さい』
私は質問を募集していた3日間の間に私の身に降りかかった嘘のような恐怖体験を視聴者に話すことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます