Ѐnter agaiи




 やれやれ……。




 なぜまだそこにいる?






 ……ダニエルだって? そんな奴は知らない。何回来たって、何時間ここにいたって無駄さ。そのダニエルとかいうのが、君の言う小説のもうひとりの登場人物なのか? でも私はそんな人物は知らない。文句があるのなら、この小説の作者に言ってくれ。私は何も知らない。自分の研究を続けるだけだ。

 あるいは君はこう思っているのか? 私が実はダニエルを知っていて、あえて知らないふりをしているのかもと。そんなわけないだろ。私はきっと君以上に思ってるよ、「ダニエル? 誰だよそれ」ってね。

 わかったら、早くここから出て行ってくれ。君の望む短編小説はここにはない。実験用ラットと試験管立てに並ぶ数本の試験管ならあるけれど、どうせ君はこんなものに興味はないんだろう?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る