第14話

僕は急いで病院に向かう。診察室に入ると肩を震わせている彼女と主治医らしき男性がいた。僕は彼女の隣に座った。

彼女の体のあちらこちらに、癌が転移していたらしい。もう手術は不可能だというところまで進行していた。彼女は僕に笑いかけた。『半年...だって。』

笑うことないじゃないか。もっと僕に縋りついて泣けばいいんだよ。僕はそう思った。でも彼女は笑っている自分が好きなのだ。前に話していたから。だから僕はそのまま彼女の背中をさすり続けた。僕も涙を流しながら。


彼女は僕に手紙をくれた。

震える手で書いたのだろう。字は僕の好きな字とはかけ離れていた、見た目は。でもその字から汲み取れる感情は、変わっていなかった。

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