食べものを探すために
俺は今、腹が減っている。そしてゴブリンの血で全身真っ赤だ。ふと気づいたことがある。
この戦争、何日目だ?
戦場に転がる人・魔物問わず死体の量が少なくとも初日の数時間って感じがしない。いくらなんでも多すぎる。戦場を初めて見た俺でもさすがにわかる。死体の量や死体の位置を見たら。そして数日間戦争するにはあるものが不可欠である。
そのあるものとは
そう、食糧である。
「魔物側の食糧かっぱらってもいいんじゃね?」
当然の既決。
「俺、人間だし、人間側を援護する意味じゃ、最高の援護じゃね?」
そうと決めれば俺は
「く、殺人的な加速だ」
ゴブリンを飛ばした時より強めに弾き、速度が落ちてくる前にまた背中にアイテムボックスを出し、弾く。その繰り返しにより、速度は時速300キロを超える。
前方にアイテムボックスを出して風圧は回避しているが0から新幹線の速度並みになる
腹が減っていたせいかまともな判断ができず、急いで食い物のもとに向かおうとしたのが原因だ。
「次からは徐々に加速していこう。でなきゃ死ぬ。」
上空500メートルで時速300キロで飛んでいる時に気を失うとか即死ものだ。その急加速、高高速のお陰かものの数秒で魔物たちの後方、まで着いた。
ブレーキ?それは前方のアイテムボックスに突っ込めば止まる。
上空から魔物たちを
「あれが司令塔か食糧庫かはたまた別の何かか。まぁ、行ってみればわかるか。」
日暮れ時まで高度を上げて時間を待った。
「もうそろそろいいか。」
空が茜色から暗闇に変わる時、俺はアイテムボックスをしまい自由落下を始める。加速がある程度加わって、落下速度に体が慣れてきたところで背中にアイテムボックス出し、加速する。
加速する。
加速する。加速する。加速する。加速する。加速す…。
地面手前にアイテムボックスを出し、衝撃をゼロにし、急停止する。途中、落下速度が風を置き去り、
俺は2匹の魔物の頭部に向かって両手をかざす。人型の魔物2匹が消える。音もなく。すぐさま振り返り建物の中に入る。この建物に扉はない。おそらく魔法で石の壁で周りを囲み、屋根を足しただけだろう。建物内に踏み込んだところで、遅れて俺が落ちてくる時に発生した風切り音が、そして強風が吹き荒れる。
「あ」
足が止まり、目の前にいる魔人(?)ってのと目が合い、ここである重要なことを思い出した。先程の戦場の説明でグロくて表現していなかったが、仕方ない。なるべくグロならないよう端的に言うとだな。
魔物は現地調達してたわ。
ーアイテムボックスー
魔物の脳だけをアイテムボックスに収納しようとする。するとまだ生きている魔物の脳は収納できないため、弾かれる。頭蓋骨の中で脳が弾け飛べば普通の生物は死ぬ。脳を持たない魔物なら違うが魔物も魔族も同様だ。
そして死体となれば収納できる。
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