戦争
戦争中だった。
人と魔物と。
丘の向こう側に広がっていたのは荒野だった。ちなみに道中に水辺はなく全身ゴブリンの血で真っ赤のままだ。
キラキラ光って見えたのは魔法が飛び交ってる光だった。近づくにつれ、人の波と魔物の群れが激しくいれ乱れている。人々は恐怖を忘れ、勇気を出そうと雄叫びを上げ、魔物も負けじと威嚇の鳴き声を上げている。無論、中にダメージを負い、悲鳴を上げ、死の絶望を感じる声も聞こえる。
今は高度を下げ、木の茂みに隠れて様見中。いかにも冒険者って格好のと、青白い鎧の騎士、青白いローブを着た魔法使い、軽装備で槍やクワを持った人達とパッと見ただけで多種多様の格好の人達がいる。一方で魔物側も多種多様の種族がいて、後方に人型(?)の魔物が複数いる。
特に魔法が激しいようだ。一番デカイ魔法が辺り数百メートルを吹き飛ばしていた。なんだあれ、ちっさい核兵器か?着弾点には灰も残らず消し飛んでいやがる。この戦場では大砲みたいな着弾したら爆発し、辺りを巻き込む魔法が多く使われているようだ。
魔法以外でも人間側で化けもんみてーに強いやつがいた。大剣を持った冒険者っぽい人が豪快な
ただ魔法の方は燃費が悪いのか攻撃魔法を使ってる人は少ない。主に支援魔法だろうか。味方に魔法をかけたり、敵の魔法を弾いたり、牽制ようにか敵に小さい魔法を放ってる。
先のデカイ魔法も数十分に1回ペースで使われている。
魔物側は前面に小さい魔物や身体が3、4メートル級の魔物が物量で攻め、後方から激しい魔法攻撃が飛んでいる。
魔物側でヤバそうなのはあの犬だ。全長10メートルは軽く超えている灰色の犬。ただ駆け回るだけで人は踏み潰され蹂躙される。それに加え、口にくわえた刀身5、6メートルはありそうな所々白いく、赤い大剣を振り回していている。おそらく元が白なのだろが返り血で真っ赤に染まっているようだ。一番厄介なのは足元への攻撃や顔に矢や魔法などの攻撃が全て魔法(?)によって弾かれていることだ。
犬の他に圧倒的存在感を放ってる魔物がいる。いや、魔族ってやつか?人型で2メートル程の身長にフルフェイスの全身鎧の魔族がいる。双剣も全身も真っ赤だ。3倍速いから赤い訳ではなく、こいつも犬の剣と同じく返り血で真っ赤に染まっているだけっぽい。
ここまでだと人間側が不利のように思えるが連携の完成度で人間側の方が優勢だ。魔物側は連携というのをとらず、個体で突っ込み各個撃破されている。というあんばいだ。個が強くてもやはり集団の方が上をいくようだ。
この位置から見える戦場の様子はこんな感じだ。
「まさか、いきなり人対魔物の大戦争の現場に出くわすとはなかなかハードな異世界転移だな」
俺は思わず笑みがこぼれた。
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