第9話

 目を開けると知らない天井だった。、


「先生!目覚めました!」


 先生?誰の事だ?

 うっすらとした視界から見えたのは50代前後男性だった。


「君、自分の名前は言えるかい?」

「...穂志上、ケイ」


「良かった。脳に異常はないようだ」

「私は......いったい」

「君の友達が連絡してくてたんだ。もう少し遅かったら君は死んでいたかもしれない」


 佑真が助けてくれたのか。


「そうだ!先生......えっ?」


 体に違和感を感じた。どんなに力を入れても動かない。そして起き上がれない。


「すまない、ケイ君。手は尽くしたんだが、君の体はもう...」


 医者の説明によるとなんとか銃弾は取り除かれたが、手足はもう動かないらしい。


「「ケイ(先輩)!」」


 ドアを勢いよく開けて入ってきたのは、佑真とねむだった。


「どうしたんだ。そんなに慌てて」

「どうしたじゃないですよ!体は大丈夫なんですか?」

「......手足はもう動かないそうだ」


「そんなっ」

「なぁ、ケイ。冗談、だよな?」

「佑真なら分かるだろ。私が冗談を言う人間じゃない事ぐらい」


 それきれ、二人は黙りこんでしまった。


「なぁ、二人とも。行きたい所があるんだ。連れていってくれないか?」



 ◼◼◼

 二人に車椅子を押されて20分。私達はあの場所に来た。


「佑真、今何時だ?」

「6時42分だ」

「そうか。じゃあ中に入って─『待ってください!』─どうした」


「また、シンデレラに会う気ですか?」

「ああ、招待状が届く限りな。佑真、ポケットの中から取ってくれ」


 佑真が取り出したのは紛れもなく、昨日見たあの招待状だった。

 中にはしっかりと今日の日付と時間が書かれていた。


「分かったか?じゃあ行こう」


 校舎に入るとやはり誰もいない。

 そして午後7時になったと同時に明かりは消えた。


「佑真、保健室に向かってくれ」

「はいよ」

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