第7話
不意に刺された痛さで私はみちるを力強く押してしまった。それにより先ほど空いた穴にみちるは落ちてしまった。先に9人が落ちているからクッションになっているはずだ。死んではないはず。
「先輩、早く手当てしないと」
「分かってる。...悪いが少し肩を貸してくれ」
「分かりました」
私は暁月ねむの肩を借り立ち上がった。
「すまない、助かった」
肩から手を離すとフラついてしまった。
「ちょっと何で手を離すんですか。怪我人なんだからおとなしく私の世話になってください」
「...すまない」
「今朝とは逆になってしまったな」
「そうですね。私は覚えてませんけど」
「そうだったな」
おぼつかない足取りで保健室を目指して5分。
「着きましたよ。さぁ、座ってください」
椅子に座り血で滲んだ服を脱いだ。
傷口からはかなりの血が出ていた。
「救急箱を取ってくれ。止血する」
「私がやります。先輩はじっとしててください」
「いや、しかし...」
「えっと、救急箱はっと」
◼◼◼
「出来ました!」
結果から言うと暁月ねむの処置は...上手かった。一つ一つが丁寧で怪我をする前までとはいかないが、それなりに違和感がない。
「ありがとう。これでまた動ける」
「そ、そうですか」
「ちょっといいか?」
「どうしたんですか?」
「さっきの人達の事なんだが」
「襲ってきた人達ですよね」
「ああ。あの人達は一度死んだ人間だ」
「ど、どういう事ですか?」
「彼等はシンデレラの犠牲者だった。ニュースで見た顔が何人かいた」
「じゃあ犠牲者の遺体は偽者なんですか?」
「それは、分からない。だが、一つだけあるとすれば...」
◼◼◼
「そんな事が可能なんですか?」
「ああ、可能だ。本物があれば」
「と言う事は犠牲者は皆生きている?」
「この仮説が正しければ、そうなるな」
「じゃあ、もう聞いちゃいましょう」
「...はっ?」
「黒きシンデレラ。答え合わせをしましょう」
「もうよろしいのですか?お二方」
「ええ」
「ちょ、ちょっと待て。まだそれが真実とは決まった訳じゃない。そう急ぐな」
そんな事はどうでもいいと言わんばかりにシンデレラは話を進めていく。
「では、暁月ねむ様、答えをどうぞ」
「あなた達の正体はクローン人間よ」
「...その理由、お聞かせ願えますか?」
「最初にあの襲ってきた人達は今までの犠牲者だった。でも生きているのはおかしい。だから...製法は分からないけど、何らかの形で参加者のクローンを作り、殺し、現場へ残した。本体はどこかに保管してるって感じかしら。そして二つ目は『ルール2の人ではないが人である』それはこの校舎に出てくる人間はクローンだがら殺してもいい。そう言う事?」
「ふふっ。さぁ、どうでしょうね」
「まぁいいわ。それと最後に、あなた達の目的は...クローン人間の実験、であってるかしら?」
ねむの推理が終わり、しばらく沈黙が続いた。
「まぁ、及第点と言った所ですかね」
「えっ?」
「それでは暁月ねむ様。間違いの代償を頂きます」
気づくとねむはその場に倒れ込んでいた。
すぐさま隣に近寄り、声をかけた。
返事はない。
...息は、している。
「あの方にはあまり乱暴するなと言われていますが、今は私がゲームマスター。多少のおいたぐらいなら許されるはず」
「おい、いったい何をした!」
「ふふっ、そんな事教える訳ないじゃないですか」
バン!
放った銃弾はやつの左胸に当たった。
「拳銃ですか。いったいどこで手に入れたか知りませんが、それは私が預かっておきましょう」
素早い動きであっという間に拳銃を取られてしまった。
こいつ、銃弾が当たったのに普通に動いてやいる。どう言う事だ?
「これ以上、色々とやられる面倒なので、おとなしくしてもらいますね。穂志上ケイ様」
奪い取った拳銃でやつは私の肩と太ももを撃ち抜いた。
「じっとしててくださいね。まぁ動きたければご自由に。でも出血多量で死にますよ。...あらまだ弾が残っていますね。それじゃあ、最後は脳天にでも撃ち込みましょうかね」
どんどん近づいてきて、銃口を額に押し当てた。そして...
『ねぇ、何を一人で楽しんでるの?』
不意に聞こえたその声に私は恐怖に駆られた。
顔を上げるとそこにはもう一人の違うシンデレラがいた。
『おいたが過ぎますよ』
「も、申し訳ありません」
『まぁ、いいでしょう。それより傷は付けていませんよね?』
「は、はい」
そう言って、もう一人のシンデレラは暁月ねむの体に傷がないか確かめにきた。
『確かに大丈夫そうね。それで彼はどうして倒れているの?』
「銃を私に撃ってきたので、これ以上暴れられると迷惑だったので、銃を奪い動け──」
言い終わる前にシンデレラはもう片方の首を締め持ち上げだ。
それと同時にレースの合間から獣のような耳が出た。
『私は傷つけるなと言いました。でもそれは彼女だけではありませんよ!そんな事も理解出来ないとは。もういいです。貴女は処分です』
そういい、着けている目隠しとレースを引き剥がした。
髪はショートで両端にはくくりがあり、水色と紫の綺麗な色だ。そして特徴的とも言える紫と白のオッドアイ。
こいつもクローン人間なのか?
「っ...まっ、まっでください。わ、わだしは──」
手に持つ拳銃を奪い彼女は迷いなく彼女を殺した。
『クローンだから大丈夫ですよ。何体でも作れます。それにしても流石と言った所ですかね。短時間で半分も解くなんて』
半分か。それだけ解ければ十分だ。
『今夜はこちらのミスでお二方が動けなくなってしまったので、お開きとしましょう。それでは明日もお待ちしていますよ。ケイ先輩』
強い光に包まれ、私の意識はだんだんも薄らいでいった。
◼◼◼
窓からさす光によって私は目覚めた。
「ここは...私の部屋」
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この話で第1夜は終わりです。次回からは最終夜になります。よろしくお願いします。
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