一夜目
第1話
午前の授業が終わり、皆が昼食をとっている中、俺はあることを考えていた。
「おーい、ケイ。何考え事してんだ」
「佑真───なぁ、あのシンデレラ事件の被害者って本当に無作為に選ばれてると思うか?」
「どうしたんだよ、急に。朝の時は全然興味無さそうだったくせによ。・・・あっ、もしかして、お前招待されたのか?」
どうして、そんなに勘が冴えてるのかな。佑真は。でも、ここで、真実を伝えれば、佑真に危険が及ぶかもしれない。だから私は──
「いや、違う」
「・・・・・・ケイ。お前嘘つくの下手すぎ」
「えっ?」
「どうせお前の事だ。俺が巻き込まれたら大変だから、嘘をついたんだろ。それは嬉しいけど─────俺達友達だろ!だから、一人で全部背負い込むのはやめろ」
「・・・佑真」
私は───愚かだ。こんなにも私を大切に思ってくれる友がいるんだ。その友の為に私は必ず生きて帰ってくる。
「なぁ、佑真。頼みがある」
◼◼◼
やはり、皆の目線が凄いな。
『ねぇ、あの3年生の人誰だろう』
『誰か探してるのかな?』
などと話し声が聞こえてこた。
実は言うと私は今1年生のフロアに来ている。この学校は学年別にフロアが別れていて、普段他学年が自分たちのフロア以外に来ることはない。
だが、用があるのだから仕方ない。
「失礼する。暁月ねむって言う子はいるか?」
教室の中の生徒達が一斉にこちらに視線を向けた。
そして───
「わ、私が暁月ねむ、です」
綺麗で透き通る様な青髪。そして大きく2つにわかれたくくりのツインテール。
彼女が頭脳明晰な暁月ねむ。
「あ、あの私に何のようですか?」
「君の頭脳を貸してほしい」
◼◼◼
「佑真、すまないな。私のワガママに付き合ってくれて」
「なーに、いいって事よ。そんじゃ、俺は先に戻ってるぜ。鍵は返しといてくれよ」
「ああ」
佑真から鍵を渡され、それをポケットにしまった。
「あの、ここって」
「ここは生徒会室だ。話をするなら絶好の場所だ。さぁ、入ろう」
教室を開け、私と彼女は向かい合うように座った。
「それで、名無しの先輩は私の頭脳にな、ん、の用ですか!」
何をそんなに怒っているんだ?私はただ君の意見が聞きたいだけなのだが。
「えー。私は
「そうですか。それで、穂志上先輩は何を聞きたいんですか?」
私は今日の朝、受け取った招待状を彼女に見せた。
「最近噂と言うか、事件になっている『黒きシンデレラ』は知ってるな」
「はい。ニュースにもなってますし」
「そこで君に聞きたい。彼女の目的は何だと思う」
彼女の考えを聞ければ、もしかしたらシンデレラの正体が分かるかもしれない。
「私は──彼女がただ普通に遊んでいる様に思います」
「遊んでいる?一人でか?」
「いえ、招待者とです。それに───」
「それに?」
そこで昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
「もうそんな時間か。悪いな、こんなことに時間を使わせて」
「あの、先輩は明日シンデレラの所へ行くんですよね。えっと、これ私の電話番号です」
「あ、ありがとう。でも、何で私なんかに?」
「不思議な人だなと思って。それに私も行きます。シンデレラの所に」
私が不思議?何を言っているんだ。君の方がよっぽど不思議だ。
「何故君がシンデレラの所に行くんだ。招待されたのは私だ。死にたいのか?」
「いいえ、死ぬ気なんて微塵もありません。それに、私と先輩となら、なんだかいいコンビになれると思ったので」
「なんだ、その根拠のない理由は」
「いいじゃないですか。だから明日電話してくださいね」
「・・・・・・どうなっても私は責任をとらないぞ」
「では、明日」
そう言って彼女は生徒会室を後にした。
また1つ帰ってくる理由が出来てしまった。
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