第12話

あの一言で完全に教室の空気が冷たくなってしまった


さすが女優と思うくらいに威圧的、そして何よりも怠そうな雰囲気を隠そうともせず放ったその一言はみんなを萎縮させるのに十分だった


「あ、な、なんかごめんね、沖村さん」


「お、俺やっぱり案内するのやめとこうかな〜」

「お、俺も沖村さん嫌そうだから遠慮しとこうかな〜」


まぁそれもそうなるわな

あんな事言われたら俺も正直関わりたくなくなるわ


「なぁ壮介、お前転校生と話したそうにしてから、俺の席と交換しても良いよ、ていうかしてくれ」


「嫌、俺は大丈夫だ、楽しみにしていたわけではなく、その、あ、あれだ、雰囲気だ!雰囲気作りをしようと盛り上げてただけだから」


くそ、壮介も逃げやがった!



キーンコーンカーンコーン


「お前ら席つけー、数Iの時間だぞ〜」

そう言いながら担任が入ってきた

普段はそう言われてから席についているが、さっきの出来事があったからか、みんなめちゃくちゃ席につくのが早かった


「では教科書の53ページを開いてくれ」


まぁとりあえず授業に集中するか!


って、沖村さん教科書なくないか?

まぁ転校初日に教科書は持ってないか

沖村さんの隣の奴も気付いてないってゆうか関わりたくなさそうにしてるしな

気付いてるのも俺だけっぽいしな〜

まぁ教科書貸すくらいなら大丈夫だろ


チョンチョン


「なんですか?授業の邪魔しようとしてます?』

「なんでそうなるんですか、これ、転校初日だから教科書ないと思うし、使って良いよ。

俺は隣の人に見してもらうから」

「ありがとうございます」


そう言った彼女は少し面食らったような顔をしていた

まぁそれもそうか、さっき教室全体に響くくらいあんな事言ってたんだから教科書貸してくれると思わなかったんだろうな


「別に気にしなくても良いよ」

と言うと俺は腹を括る事に決めた


最近なにかと色々あった姫路さんに見してもらうか...


あの一件以来、友人として姫路さんと接しようとしても全然話せないでいた


そりゃぁ、女の子と二人きりで、しかもあの姫路さんと一緒に理由はどうあれ出掛ける事が出来たんだから、ちょっと進展があっても良くないって思うじゃん!


それなのに姫路さんに良いお友達認定されたって言うのが...

何より姫路さんは俺の事を純粋に遊びに誘ってくれたのに俺が煩悩だらけで色んなこと考えていたのが申し訳なさ過ぎて話しづらいと言うかなんというか...


女性経験なさ過ぎてなんも分かんねー!!

女子の気持ちとか全然分からんし何考えてるのかも分からんわ!!


くそ、これはなんて話しかけたらいいんだ?


やっぱりここは無難に

「教科書貸したから見してくれないかな?」

といえばいいのだろうか...

いや、それよりも男子友達と同じように

「わりっ!教科書見して!」

みたいな感じでフラットに行けばいいんだろうか...


それとも向こうが言ってくれるまで待っていればいいんだろうか...


うわぁぁぁぁぁ!!

悩んでても頭がパンクするだけだ

えぇーい!

なるようになれ!!



「あの、姫路さん、教科書沖村さんに貸したから一緒に見さしてくれないかな?」


「良いよ!仁君!あっ、じゃあ私がそっちに寄せるね!」


「あっ、姫路さん、ありがとう」


「全然気にしなくても良いよ!!

何せ両思いだもんね(ボソッ)」


なんか聞こえたような気がしたが気のせいか?

ていうか姫路さん、なんか距離感が近くないか?

えっ!?女子ってこういう距離感なのかな!?

肩と肩が触れるくらい近づくのが当たり前なのか!? 

い、いや!!

違う!これは違う!


普通の女子はさすがにこんな距離感ではない!




そう!

これは姫路さんが純粋すぎるんだと俺は思う!!

だから向こうからしたらなんと思っていない!!

だから気にするな!

俺!



「あっ、あの!

姫路さん、その、距離近くないかな?」

やっぱり無理でした〜!!

童貞にこの距離は無理です!!

心臓が持ちません!!

た、頼むから俺のために少しでもいいから離れてくれないか〜!!


「そうかな?このくらいが普通だよ!?」


Oh ...


この後高校始まって以来、一番授業に集中出来なかったと自分では思う


しかし言い訳をさしてもらえるなら、この距離感に加え、やけに見られているような気がしたのだ、けど探して見ても誰もこっちには向いてないし、姫路さんも俺が姫路さんの方に向いてからその視線に気付いたように微笑んでくれるだけだった


しかもこの日の授業はまだまだ続くという...


俺、今日気を貼りすぎでぶっ倒れるかもしれんな


1時間目が終わり、休憩時間で俺は壮介にそう伝え覚悟を決めたのであった






_________________________________________

本文で伝え切れてないところがあるのでここで紹介したいと思います

主人公の沢村 仁の口調や語りに差があると思いますが、それは仁が単純に女の子慣れしていないと思って頂ければいいです

そして普段の仁なんですが、基本仁は半分半分くらいの割合でクールとテンパリで出来ているので、女性が関わっていない時はわりかしクールです


ここまで読んでくださりありがとうございます!

引き続き「学園ラブコメに俺は翻弄されます」を楽しみながら読んでください!


なお投稿頻度はなるべく頑張るつもりなので温かい目で見守ってください💦

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る