第5話
「....えっと、姫城さんよろしく」
「うん......」
気まずい!
気まずすぎる!!!
何なの、この状況!
姫城さんも怒りながら下向いてるし!
神様!見ているんだったら助けてくれ!!
「1時間目を始めるぞ〜、みんな席につけ〜」
先生がダルそうに言っている中、普段では終わるのが長いなと思う休憩時間も今日だけはものすごく早く感じた
早速俺は歴史の教科書を出そうとすると
「あれ〜、教科書忘れちゃった...」
と言う声が聞こえてきた
あれ?これってもしかしてチャンスじゃない?
今教科書を貸せばちょっとは怒りが収まるかも!
「姫城さん、よかったら俺の教科書使って良いよ」
「沢村君はどうするの?一緒に教科書見るとか?」
いやいや、そんな自ら危険に飛び込む事なんてできんわ!
「俺は教科書なくても平気だよ、大丈夫大丈夫!」
「い、いや、それはダメだよ!貸してもらってるのに私だけ見るってことはできないよ、だから、沢村君、一緒に見よ?」
正直に言おう、めっちゃ可愛いと
ここまで言われたら見るしかないが、姫城さんはそれで良いのだろうか?
まさか!本当は嫌だがこのまま放って置けないという良心でやってくれてるとか...
それなら納得できる、てかそれ以外思いつかない
「じゃあ、姫城さんが良ければそうさせてもらうよ」
「うん!」
「じゃあ、教科書の42ページを開いてくれ」
だるいな〜と思いながら教科書を開こうとすると姫城さんと手の触れてしまった
やばっ、と思い横を見るとそこには真っ赤になった姫城さん...
めっちゃ怒ってらっしゃる...
俺は慌てて姫城さんに謝った
「ごめん、手が触れちゃっただけで狙ってやってはないと神に誓います!」
「え〜!そんな大げさに謝らなくて良いよ、手が触れても私、気にしないから!!」
なんとか危機は脱出できたようだ
しかし、これがこれからずっと続くとなるといつか殺されるんじゃないかと思った、いやマジで
昼休み
「壮介〜、ちょっと、いや、かなりピンチだ〜!」
「何がだよ?」
「今回の席替えの事に決まってるだろ!」
「仁、お前なぁ〜、大丈夫だって、絶対怒ってないから」
「そんなんわかんないだろ!?」
「しょうがないなぁ〜、俺が聞いてきてやるよ、こう見えて俺、姫城さんとちょっと話した事あるし、お前のこと聞くくらいならできるだろ」
「マジで!ありがとう、恩にきる」
「そのかわり帰りにアイス奢れよ」
「わかってるって」
しょうがない、友人の頼みのために俺が一肌脱ぐか
仁には中学の時お世話になったし、こんくらいだったらやってやるよ
もちろん奢り付きだけど
俺は後で行くのもめんどくさいから直接姫城さんに聞く事にした
「姫城さん、ちょっといいかな?」
「どうしたの?滝本君?」
「いや、別にこれといった用は無いけど仁が迷惑とかかけてないかなぁ〜って気になったから、あいつって不器用だからそういうの気になるんだよ」
「沢村君にはお世話になってばっかりだよ!今日だって教科書貸してもらったし、この前も助けてもらったし、かっこよかったなぁ(ボソッ)」
「えっ?」
「あ、いや、なんでも無いよ、ところで用ってそれだけ?」
「そうだけど...」
「じゃあ、私もう行くから!じゃあね〜!」
と、姫城さんは顔真っ赤にしながら逃げるように教室に行ってしまった.....
マジですか...これってもしかしなくても仁に惚れてるよね?
あの学年のアイドルで大和撫子の姫城佳奈が特になんの取り柄もない仁に.....
えええええ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
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