鉄意の女史エコーズ・トラナタリア
「誇り高き騎士の位を戴く者に、間違いも不正もあってはならん!」
だからこそです!
3日後のアカラマ三議会において、オールダーの現状を説き、皆の意識を正すべきです。
人として、何が正しいのかを!
「そう言う君も、今の今までオールダーをゴミのように扱ってきたのだろう?それが、何を突然聖人のように振舞っているのかね」
それは…確かにその通りです。ですから、過ちに気が付いた時点で正しい道を選択すべきだと思うのです。
「エコーズ君、アルゾ騎士団長から『鉄意の女史』などと呼ばれて浮かれているんじゃないのか?あの二つ名は『貴女は融通の利かない方ですね』という意味が込められているのだよ!」
そうだとしても、自分の意思を、正しいと信じるものを曲げるようなことはしたくありません!それが私の硬い“鉄意”です!
「規格の間違った鉄に何の意味がある⁉︎そんなもの不良品でしかない!」
私の鉄は!熱く正しい思いに焚べられればいくらでもその形を変えましょう。より良い方向へといくらでも力を尽くすつもりです!
ですから、マニデス様。どうかもう一度私の話をお聞きください。
「なるほど…オールダーのギュカにほだされたか。いや、結構。もう聞く話などはない」
マニデス様!
「なによりも、君には内乱を起こす危険性があるようだ。警兵を呼んで来るから今すぐ
そんな……、今、なんと…?
「紫肩章を外せと伝えたのだよ。国の安定を壊そうとする輩を、騎士の私が見過ごすわけがないだろう。そんな者を側近として使うわけもない」
では、オールダー達はどうなりますか!人権を踏みにじったまま、この国は進むというのですか!
「おかしなことばかり言うな。君は掃除に使う雑巾を愛猫のように愛でるかね?ゴミ箱の中身を美しいと額に飾るかね?それと同じなのだよ。誰も皆、同じように思っているのだよ」
考え方や、これまでの常識は改める事が出来るのです!私のように!
耳を傾けることさえすれば、その可能性は充分にあるのです!
「もう少し静かに。警兵を連れてくるまで鍵をかけるが、騒がないでくれたまえ。君はもはや罪人だ。誰に殺されてもおかしくはない」
オールダーのギュカが話してくれた言葉には、汚れも美しさも関係なく、ただ事実のみがありました。真実の熱さがあったのです!
「なら、それが仇となったのだろう。熱しすぎれば、今のように溶け落ちることもあるのだから」
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