第5話 助けてください

 俺はいつもおろおろしている。

 嫌われているんじゃないか?

 悪口を言われているんじゃないか?

 誤解されたんじゃないか?

 服が似合ってないんじゃないか?

 鼻毛が出ているんじゃないか?

 禿げが目立ってきたんじゃないか?

 誰からも評価されてないんじゃないか?

 隣の家の奴に恨まれて殺されるんじゃないか?

 認知症なんじゃないか?

 何か思いついたらしいが、何だかわからないぞ!

 隣の家に庭木が張り出して、トラブルになるんじゃないか。そのため殺されるんじゃないか?

 あいつ、この頃偉そうなんじゃないか?

 あいつ、自分では格好いいと思ってるらしいけど、滑稽なのがわかんないのか?

 この頃、イライラすることが多くなった。イライラの程度も酷くなってきた。このままだと人を殺してしまうかもしれない。怖い。

 地獄なんか信じない。坊主どもの商売のネタなんぞにされてたまるか!

 みんな大嫌いだ!お前らも俺のことが嫌いだろう?蔑んでいるだろう?仕方ない。

 だけどみんなただの糞袋。飯食って糞して、時期が来たらこの世とおさらば。糞袋が気取るな!糞袋が地位だの何だのうるさいんだよ、ただ糞してるだけのくせに。

 俺は毎日おろおろしている。おろおろ糞袋だ。憐れな憐れな糞袋だ。

 それがどうした。それだけのことさ。

 無知無恥。無知無恥幸せで良かったね。無知無恥ならば恐いものはない。天下無敵だ。そうなれなくて苦しむって何なんだ。

 政治家が悪い?悪くない奴なんているかね。ははは。

 自分が正しいと思える幸せな人たち。良かったね。本当の自分の姿が見えないのは幸せだ。

 俺はどうかしている。こんなことを書けば余計苦しくなるだけなのに。わかっているのに。助けてください。

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