ウラ話。〜サツキヤミ 〜

 五月闇とは、「陰暦五月の、梅雨が降るころの夜の暗さ。また、その暗やみ」を言う(デジタル大辞泉より引用)。闇に関係する単語を片っ端から調べていたら、この言葉にたどり着いた。夜が本当に真っ暗で、妖怪が「居た」時代に生まれた言葉と推察する。

 この言葉を見て、梅雨の夜に得体の知れない化け物に襲われる構図が頭に浮かんだ。そして「サツキヤミ 」を書くに至る。


   ◇


 自分は下戸である。なので菓子はともかく、映画を見ながら酒を呑むのかな? と考えた。だが雨の夜に出かける理由を他に思いつかなかった。自分の想像力不足が恨めしい。


   ◇


 名古屋を出した理由は特にない。強いて言えば、「夜でも明るい場所」と「夜は普通に暗い場所」がそれぞれある現代日本として真っ先に思いついただけ。東京や大阪はイメージ的に明るすぎた。


   ◇


 化け物を見えない設定にしたのは、その方がわけのわからない怖さを作れると思ったから。でも描写が難しかった。どんなに怖い姿か形容することができないのだから、当然かもしれない。「不可視の化け物」を題材にした作品は今後の課題とする。

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