第4話 実験室
さて、いよいよ次は二階の見学だ。
「まずは実験室からですね。お入り下さい。
いきなり物騒な名前の部屋来たよコレ!
好奇心と恐怖心の半々を持ちつつ入る....
「よくいらっしゃいました。ここでは試験的に作成された機械部品を人工知能と接続して新たなアンドロイドを生み出す実験をしている部屋です。
小柄でメガネをかけた女性が丁寧に説明してくれた。
既に怪しい雰囲気がプンプンする....
そしてやっぱり人体模型が置いてある。
「ここでは新型のアンドロイドの実験を行っております。具体的には、人型だけでなく独立思考の大型作業用アンドロイドや人命救助用のアンドロイドなどを人工知能を搭載した状態で稼動させられるかなどですね。より人の思考回路に近い人工知能を搭載したアンドロイドや人間の持つ「慈悲」や「慈愛」「正義感」といった感情の特に強い人工知能を作り人命救助用の機械に搭載などを行っておりますが、感情の強弱を操作するのはなんというかやや倫理に反する気もするので途中で中止になりました。
なにも人型で独立した思考を持つアンドロイドが全てではないようだ。俺は特に感情を持った人型のアンドロイドとそれに連なる人工知能についてよく調べていたから応用した物があるとは知らなかった。また一つ賢くなったな!
「もっとも、最近行っているのは痛覚搭載の研究ですね。人は痛覚を通して身の危険を自分に知らせていたのでアンドロイドにもそれを搭載すれば作業用のアンドロイドとヒトとの接触事故は減らせると考えているのです。
「なるほど。自分に痛さをわからせれば相手に痛みが生じる可能性のある動きはしないようになるって訳ですね!
「理解が早いですね。もっとも、ヒトの痛覚に近いものを感じさせる為の回路や部品などがまだ研究中なので実験が行えるのは当分先ですけど...
たしかに、よく考えたら感情があって四肢があっても痛みが分からなければそれは完全な人とは言えないな。また新たな着眼点で研究をする必要がありそうだ。
「ありがとうございました!
「ええ、こちらこそ。
ペコリと頭を下げて部屋を後にする。
「さて、次はいよいよ超演算処理人工知能「クロノス」を管理している管理室になります。この先ですね。足元に気をつけてください。
ミモザが案内する先には数多もの管が繋がれている不思議な部屋への入口だった...
いよいよ念願のスーパーコンピューターとのご対面である。
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