第15話・お風呂タイム
「じゃあ俺風呂入ってくるからさ、大人しくしといてくれよ?」
「「「っ!?」」」
いつも通り風呂に入ろうとタオルと着替えを持って風呂場に行こうとすると、それぞれ勉強やら家事やらをしていた顔が一気にこっちに集中する。
「な、なんだよ…」
「へいタツゥ…久々にお姉さんと一緒に風呂入らないかい?」
ハル姉が割とガチのトーンで俺と肩を組んで胸を押し付け、それを告げる。
「い、いつの話してんだ!!」
「うーん…中二ぐらい?」
「んなわけねぇだろ!最後に風呂入ったのは小4のころだ!!」
しれっと嘘をつくハル姉に言葉を放ち、息を荒くする。
「まぁそれはさておき、幾ら払えばタツと風呂に入れるの?」
「はっ、2億積めば考えてやらんこともない」
無理難題を押し付けて諦めさせる。そう考えたが、ミリアがスマホをいじって何処かに連絡をつけている所を発見する。
「……もしもし親父か?2億貸してくれ」
「辞めてくれミリア!!俺が悪かったから!!!」
そうだった。ミリアの家は超絶な金持ちだったんだ。2億をポンッと出す事は出来ないだろうがマジでこいつならやりかねない。
「あ!じゃあみんなで入れば良いんじゃない?」
「正気か?」
思わずハル姉にそう告げた。だって…男と女が一緒に入るんだぜ?なにその状況。
「あら、こーんな美少女の裸を直に、それも3人のものを観れるのよ?普通の男なら金を払っても見たいと思うだろうけど、タツに限ってはタダなのよ?」
確かに俺だって男だし、ハル姉はただでさえ美少女という域を超えてモデルレベルの人だ。だけど、倫理観というものが俺を抑え込んだ。
「やらねぇよ!んじゃ、俺風呂入ってくっからな!!」
〜〜〜
「ぷはぁ…」
湯船に浸かって汗を洗い流す。こういうのは女子が先に入るもんだろうが、その場の勢いで来てしまった。それに、女子の後に風呂に入るってなんか気がひける。
「はぁ…」
だがここだとそんな気を使わなくて良いし、のびのびと体を癒せ…
『ちょっと!!押さないでよ!!』
『先に行くのは私!!』
『2人とも騒ぐな!!達海に気づかれるだろう!!』
急いで浴室に鍵をかけようとするが、それより先に3人がバスタオルを巻いて風呂場に侵入してくる。
「達海ぃ…私達があの程度で引き下がると思ってたのかしら?」
ニヤニヤとしながら俺と目を合わせる。
意外と風呂場は広いから3人とも入れてしまった。
「なっ…なんちゅう格好してんだよ!!」
「バスタオルは巻いてるから良いじゃない。ま、この下は…見たい?」
「うるせぇ!!とっとと出て…」
ミリアと摩耶が鼻血を出している。それがなんなのかと思うと、とある場所に視線が向けられていたのを感じた。
「タツ…成長したわね…」
「ああああああああああ!!!」
顔を真っ赤にして湯船に浸かり、背中をみんなに向ける。
「もうお婿に行けない……」
割と真剣に凹んで泣きそうになった。
「だ、大丈夫だタツ!私が嫁になってやろう!」
「ミリア……フォローありがと。だけどね?こうなったのお前らのせいだからね?」
「うぐっ…」
まさに元凶だぞこいつら。そんなのに言われてもなんか…なんか心に靄が残る。
「まぁそんなことより、タツ、私達とお風呂入りましょっか」
「だから何故そうなる!!」
精神化け物かよ!!もう逆に尊敬するわ!!
その後…俺が息子を押さえ込みながら地獄の20分に耐えたのは、言うまでもない。
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