2人の性格

「君たちの腕を見込んで我らがレジスタンスにスカウトさせてもらうよ。」

.....

「レジスタンス?」

「レジスタンスだと?」

ちょっと驚きすぎて間抜けな声が出てしまった。空からは俺ほど間抜けな声ではなかったがそれでも驚きを隠せてはいなかった。

「そう、レジスタンス。まぁと言ってもまだまだ小さくて革命と言えるほどの活動はできてないんだけどね。」

......

自重するように笑う神島さん、困惑する空と俺。困惑しているからか空も既にナイフは下ろしているようだ。まぁまだ背中で見えないけど。



「さて、どこから話そうか。」

さっきの直線に並んでいた体型から、円形の体型になった。まぁさすがにさっきの体型じゃ喋りにくいからね。

「さっきも言った通り俺の目的は君たちのスカウトだ。」

「レジスタンス...ですか...。」

そんなグループがいるのくらいは知ってはいた。この国はカースト制度を採用している。そんな国で革命だなんだという話が出てこないわけがない。

「正直興味はないな。」

ばっさりと空が言い切ったことは少し驚いた。ここまで国と対抗しているのだからてっきり革命には多少なりとも興味があるものだと思っていた。

「ふむ。ここまでやっているのに興味が無いと断言するのかい?」

「俺の目的は革命などではないのでな。」

「では目的とは?」

「ただ幼馴染の命を守ることだ。ひっそりとな。」

「だったらそれこそ一人でやるより我々と協力した方がいいのではないのかな?」

「守るだけならそうだろうな。」

「なるほど。ひっそりとが重要なわけか。ところでそっちの君はどうなんだね?」

「んあ?あ、あぁ俺か。」

ぼけっとしてたせいで少し反応が遅れて変な声が...。話は聞いてたよ?うん。

「私の目的は基本は空と同じ幼馴染の命を守ることですよ。」

「同じ目的でありながらあらそっていたのはつまり」

「はい。ご察しの通り方向性の違いです。私はいくらなんでも人の命を奪うのは許されることではないと思っています。それに何も知らない状態では幼馴染は国からの殺意に気づけません。このままでは私達の手の届かないところで殺されてしまうかもしれない。」

「なるほど。でどうしようと?」

「逃げるのです。人を殺さずに幼馴染を守るにはそれしかありません。少なくとも私にはそれしか。」

「...なるほどな...。双方意見を曲げる気はなしと。」

「当たり前だ。このために俺は長い間戦い続けているのだから。」

「これ以上空の手を汚させる訳には。」

「悪いが言わせてもらうぞ。2人とも甘い。」

「は?」

....?何がしたいんだこの人?

「相手は明確な殺意を持ってきているんだ。穏便に話が住むわけが無い。それともお前達は守りながら退けられるほど強いのか?さっきの戦いを見せてもらってスカウトに来たが正直に言おう。さっき見たレベルでは不可能だな。逃げきれない。捕まって全員処刑だ。そして、ひっそりと守りたい?それこそレベルが足りない。君たちにはまだまだ力が足りない。」

「...ほう?そう言いきれるほどお前には力があるというのか!」

言い切る前にいつの間に取り出したのか空はナイフを1本投擲し、2本目で斬りかかった。

...。その一瞬で俺達はレベルの差を理解した。空がナイフを投げたのと同タイミングで動体視力と思考能力を強化していた俺は何とか捉えることが出来た。この状態ならば普通の人が手を振り上げるのは亀の歩みのように遅く見える。しかし、神島さんはそれだけ思考が加速された世界の中でようやくギリギリ何をしたか理解できるような速度でナイフをキャッチし、斬りかかっていたために伸びていた空の手を掴み少しの手首の捻りと体捌きだけで空を地面に叩きつけ、地面に背をつけた空にナイフを投擲し、ナイフは顔のすぐ横の地面深々と突き刺さった。

....はぁ?ここまで差があるものなのか?

「これで十分かな?」

「うっ....まぁよく分かった....。」

少し痛そうにしながら空はゆっくりと立ち上がった。

「この程度も捌けないようじゃどちらにしろ無理だ。ふたつを望むためには相応の力が必要となる。」

「じゃぁどうしろと?本人にバラして隠れろと?がたがたと震えて過ごせというのか!?」

「...あなたは守れるだけの力があるというのですか...?」

「大地!?いきなり何を!?」

「言いたいところはそこでしょう?私達の力不足を指摘し、目的のために仲間となれと。」

「まぁそういう事だ。それこそ俺ならばある程度は守れるし、何より仲間もいる。今は少ないがこれからも増える。身を隠すのにもちょうどいいだろう。」

「...分かったレジスタンスに私は行きます。」

「大地!?」

「人を殺めることになるかもしれんぞ?」

「...甘いと言い放ったのはあなたでしょう?」

「ほう...。友のために手を汚す覚悟はあると。」

「どうしようもなければ、です。それにそうした方が空が手を汚す必要も減るでしょう?」

「まぁ流石にここで同じことを続けるよりは減るだろうね。」

「待て。俺は行くとは一言も」

「それ以外に選択肢があると思ってんのか!?お前は今力が足りないことを身をもって証明したんだぞ!?」

「...ぐっ」

「これが最善だ。」

「...分かった...。俺も行く...。」

「ということでこれからお願いします。」

「あぁいい返事が聴けてよかったよ。これからよろしくな。」

To be continuous...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る