唯一の願い

勝利だギューちゃん

第1話

子供の頃は、未来は希望に満ちていた。

がんがれば、願いは叶うと、信じてきたし、

そう教えれた。


悪く言えば、欲張りだった。


でも、歳を重ねるにつれ、それらはだんだんと消えていく。

現実の壁に、打ち砕かれてしまう。

小さい頃は、「夢を見ろ」と教えてきた大人たちも、

大きくなるにつれ、「現実を見ろ」と、教えるようになる。


当然なのだが、勝手なものだ・・・


「ねえ、はるくんの夢は何?」

「僕?プロ野球選手さ、あきちゃんは?」

「私は、女優」

「そっか、がんばろうね」


幼稚園の頃、仲の良かった女の子と約束をした。


しかし、僕のプロ野球選手の夢は、小学生の時点で敗れた。

周りを見て、自分の愚かさを知った。

「ああ、俺はどんなにがんばっても、プロは無理だな」


でも、野球は続けた。

体力と忍耐力を付けるために・・・


なので、一度もベンチ入りは出来なかったが、後悔はない。


「はるくん、後悔はない?」

「ああ。すがすがしいよ」

「私、今度芸能事務所に入るんだ」

「ほんと?あきちゃん」

「うん」

「おめでとう」

「ありがとう」


こうして、あきちゃんはデビューへとこぎつけた。

ここからが大変だ。

健闘を祈ろう。


僕は、プロ野球選手にはなれなかった。

ならせめて、漫画の世界で叶えよう。

趣味で描くだけなら、漫画の世界は楽しい。


僕は、自分をモデルに、万年補欠だった主人公が、

努力して、プロ野球選手となる漫画を描いた。


ここで、終わらせた。

プロで活躍できるかどうかは、漫画とはいえ、彼に任せよう。

それが、僕の願いだ。


あきちゃんは、着々と女優の道を歩んでいる。

僕も、負けてられないな。


数年後


僕はあきちゃんの活躍を支えに、日々を生きている。

現実社会の荒波にもまらる中、

あきちゃんの存在が救いだ。


そんなある日、手紙が届いた。

テレビ局からだ。

覚えはないが、どうやらよくある、芸能人の初恋の人探しだ。


あの、あきちゃんが、僕に会いたいという内容だった。


できることなら、会いたい。

でも、今はまだ、会える状態ではない。

でも会いたい。


頭の中で、天秤がかたむき合う。


そして、出した結論は・・・


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唯一の願い 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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