■3──識別コードA‐037・060(4)
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さて、そんな調子で日々は緩慢に過ぎていく。
最近は聖女たちの訓練の予定も穴が多いようで、強情を張っていた
十一月も終わりが近付いて、いよいよ冬の到来も本格的になってきた頃合い。
久方ぶりの出撃を終えた
──。
「そういえば」
月下の鳥籠、造花の庭園。
帰還後のルーチンとなっている診察を一通り終えると、
「もうすぐ、
端末に診察記録を入力しながら、私は記憶を巡らせる。
それを記念してか、はたまた単なる乱痴気騒ぎの口実か。最近ではもっぱら後者になっているが、ともあれこの日は祝い事の日とされており、この「箱庭」でも、ごくささやかではあるが毎年パーティが催されているらしい。
「いつもは私が準備役だったんですけどね。丁度この時期に出撃が重なってしまったものですから──困っちゃいました」
苦笑しながらそう告げる彼女に、無理にやる必要もないだろうと返す。すると彼女は首を横に振って、優しげな表情で続けた。
「駄目ですよ、なんだかんだで貴重な息抜きですから。こういう時に、ちゃんと皆さんを楽しませてあげませんと」
そういうもの、なのだろうか。
「そういうものなんですよ」
そう答えると、彼女はそこでいたずらっぽい笑みを浮かべてみせる。
「それに、
いつカップルになったのかは知らないが。ともあれ、聖女たちの息抜きとしてこういう催しをすること自体には賛成だった。
思えば、私がここに来たのは丁度去年の
……ここを訪れて、もうすぐ一年が過ぎようとしている。
思い出されたのは──
敵意ではない。
「先生、どうしました?」
小首をかしげてこちらを見つめる彼女になんでもないと返すと、私は話題を今年の
「と、そうですねぇ。もうあんまり日にちもないですが……とはいえ今年あたりはぱーっとやりたいですね。なにせ先生と過ごす、初めての
妙に張り切った様子で立ち上がると、「ではでは」と言い残してそそくさと庭園から立ち去る
……左足は、やや悪化。装具を着けているものの、筋力の低下は続いている。
そして──左足に続いて
訓練や実戦の中で
……そう言えば。「もうすぐ戦争が終わる」と──
戦争が終わったら、彼女たちはどうなるのだろう。
そんなことに──私は
……その結論など、とうに分かりきっていたのに。
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