第13話 人間と宗教
「このままもしなりゆきが死んでしまうような事があったらいったいこの子は何のために生まれてきたんだろうか?なにも悪い事はしていないのになんでこんな罰を受けなければならないのか」と山口先生に回診の時に尋ねたことがある。
山口先生
「お父さん、人間のこの世は刑務所なんですよ。前世で悪い事をした人ほど、現世では長生きさせられるんですよ。前世でいいことばかりしてきた人は刑期も少なくて若いうちに死んで、苦しみから早く開放されるんですよ」
私
「そうなんですか。私は無宗教なもので・・・」
山口先生
「それに死んでしまうなんて事はさせませんのでもっと前向きに考えて下さい。なりゆき君は今ガンバッて戦っているんですよ」
私
「先生は医者でわたしは医者じゃない。つまりわたしはここにジッと座っているだけで、なんにもしてやれないんです。それがもどかしくってもどかしくってたまらないんです。あんまり宗教とかは信じないほうですがこんな時は本当に祈ることしかできないんです。先生は祈りを信じますか?」
山口先生
「祈りをバカにしてはダメですよ。私は医者で科学の最先端を走っているように思われますが実は祈りを信じているんですよ」
私
「え、そうなんですか?意外です」
山口先生
「アメリカの臨床実験でも祈りに関しての貴重なデータがあります。3人のガン患者がいました。1人目はある宗教法人の教組、2人目は会社の社長さん、3人目はコジキだったんです。最初は同じ症状で進行具合も似たようなものでした。ところが教組には何万人という人が毎日祈りをささげ、社長は何十人の人が祈りをささげ、コジキには祈る人がいなかったんです。この結果、三人の進行具合に歴然とした差が出てきて、教組は全快しました、社長は何年かして退院、コジキは死んでしまったのです。ひとえに祈りのせいでもないかも知れませんが極端に違う結果というのは医学の世界ではそうない事なんです」
私
「じゃあ、先生、祈りが効き目があるとしましょう。なんで昨年日本のサッカーがワールドカップ初出場をかけた最後のイラク戦で、日本国中が祈っていたにもかかわらず負けてしまったんですか?」
山口先生
「それは簡単ですよ。イラク国民の祈りのパワーが勝っていたんですよ。むこうは祈りの本場ですからね」
山口先生のこの言葉を受けて、この日からとにかく治るまで祈る事に決めたのである。
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