最後の部品
勝利だギューちゃん
第1話
俺は、公園に来るのが日課だ。
特に用はない。
ただベンチに腰掛けて、ぼーっとするのが好きだ。
年寄り臭いと自分でも思う。
でも、それでいい。
動きっぱなしだと、電池がすぐに切れる。
休む事も大事なのだ。
だが・・・
「やあ、また会ったね」
遠くで、女の子が手を軽く手を振る。
「なんだ。また君か・・・」
「なんだとは失礼ね。せっかく声かけてあげたのに」
「頼んでない」
「怒らない、怒らない」
この女の子は何者だ?
風貌からすると、17歳くらいだが・・・
「私?22歳だよ」
心が読めるのか?
「童顔だな」
「よく言われるよ。お兄さんは、30歳くらい?」
「22だ」
「私とタメ歳?老けてるね」
「余計なお世話だ」
毎度ではないが、この女と出会うと喧嘩口調になる。
「お兄さん、名前は何て言うの?」
「それは互いに知らないほうがいいだろう」
「どうして?」
「謎は多い方が、心に残る」
「それもそうだね。お兄さんポエットだね」
感心される程ではない。
「彼女いる?」
「いると思うか?」
「思わない」
正直だ。
「私もなんだ」
「あっそう」
興味がない。
「お兄さんは、何している人?」
「個人情報保護法を使わせてもらう」
「じぁあ、わたしも教えない」
それでいいだろう。
「お兄さん、ひとつ問題だしていい?」
「何だ?」
「お兄さんが、ジグソーパズルを作ってます。」
「ああ」
「それも、1000ピースの大きいパズルです」
「ああ」
「でも、パーツを一つ無くしました」
「ありえるな」
「どこを探しても、見つかりません」
「ああ」
「どうする?」
何が言いたいんだ?
「同じパズルを買ってきて、1から作り直す」
「どうして?」
「新しいパズルに申し訳ない」
「古いパズルは?」
「悪いが、破棄する」
この答えは、今の俺の仕事に関係している。
「正解」
えっ?
「がんばってね。未来の天才イラストレーターさん」
「嫌味か?って、知ってたのか?」
「うん、私を誰と思ってるの?」
「知らん」
彼女は微笑む。
「私は、天使だよ・・・なーんてね」
最後の部品 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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