第3話

時は承安四年。

 都では平清盛が天皇の外祖父として政治を牛耳っていた。俗に、平家にあらずんば人にあらずと言われるほどの繁栄ぶりであった。そして、他を顧みない、あからさまな血の恩恵の集約は徐々に人々の心に反感を植え付けていった。

 人々の心に根付いた反感はやがて芽吹き、ゆっくりと、時代の終焉を生み出していく。そうして、いくつもの大きな流れが変わり、時代の彩を変化させていった。その兆しは、余りにもはっきりと表れているのだが、渦中の人にはそれは見えない。見えるのはいつも、栄華の頂から引きずり降ろされた後なのだ。

 それもまた、世の習いである。

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