平成16年1月3日

ミオの為に、ドレスを作った。純白の花嫁衣装だ。僕は気付いた。生きていようが、死んでいようが、ミオはミオだ。事実、亡骸となった今でもすごく美しい。真っ白な四肢にはシルクの布がひどくよく似合っていて、真っ黒な髪は淡いヴェールを帯びて輝きを増している。

「天使みたいだ。」

思わず、彼女の唇に触れる。柔らかくて、そして、冷たい。温度がまるで感じられない。僕は最近、彼女と踊るのを楽しんでいる。ああ、もう『小説』とかどうでもいいや。



 そういえば最近分かったことがある。どうやら私の状態は、少しずつではあるが成仏に近づいているらしい。もう大分思い出したからだろうか。だが、分からないことはまだ沢山ある。産んでくれた人の顔や名前、もしかしたらいたかもしれない親友のこと、将来の夢も。私は初めて未練を覚えた。“消えたくない”と祈った。

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