3章 テストレッドライン

「妹よどうかどうか哀れな私めにに勉強を教えてください!」「...」「どうかこのとおりお願いします!」「...あのさ、おにぃちょっと邪魔。」「OKと言って貰えるまでここはどかん!」「どかなくていいや。おにぃ妹に土下座して『勉強教えて!』って頼むの兄として恥ずかしくないの?」とゴミを見るような目で那心は僕を物理的に見下した。何故こんなに妹に頼み込んでいるかというと月は6月になり、地獄の定期テストが近づいたからである。だから土下座をしてでも妹に頼んでいる。「プライドなんて知るか!追試だけは避けたいんだよー!」「私にだってねぇテストがあるんだよこのクソ雑魚おにぃ!まず私が高校の内容分かるわけないだろ!」と、いつも陸上で鍛えた足で僕を蹴ってくる。「お願いしますからー!いだいいだい!」「琴海さんか、友達にでも聞けばいいじゃん!あ、そっか友達いなかったね。」妹は僕の体そして心を痛めつけた。友達が少ないだけなんだよ我が妹よ。結局勉強を教えてもらえず一日が終わった。

テストまで2週間。

「琴海様!どうか私めに勉強を教えてください!」「なんで私に頼むのよ。てか場所考えてくれない?」次に僕は琴海を尋ねた。また土下座をし、頼んでいるのであった。場所?琴海の教室ですけど何か?周りの生徒からは「え?何あの人。」「琴海様ってまさかそんな仲に。」「琴海ってそんな趣味あったんだ。」などちょっと引き気味な言葉が聞こえた。「ちょっ、みんな違うからただこの男がしてるだけだから!とりあえずお前はあっち行け!」と、何か書いたあと僕を教室から追い出した。追い出される前に琴海は僕のポケットに紙を入れた。内容は『放課後あんたの店行くから話はそこで聞く。』と書かれていた。放課後まで勉強をし、帰宅。テスト2週間前になると吹奏楽部は休みになるらしい。家に戻ると、いつもの席に琴海が座っていた。「で?どこが分からないの?」「全部。」「あ、私の聞き間違いか、どこが分からないの?」「ぜ、全部です。」琴海は何言ってんだこいつと言う顔をしながら「苦手な教科は?」「英数国。」「ちょっとノート見せてくれない?」僕はノートをカバンからだし、琴海に見せた。ノートは空白ばかり。必要最低限のことしか書かれていなかった。「ごめん聖華。私急に用事思い出しちゃった。帰るね。」と、その場を逃げようとした。「お願いします助けてください!このままじゃ追試どころか赤点になっちゃう!」「知らないわよ!全部わからないしかも全教科苦手。そしてノートもろくにとってないやつにどう教えればいいのよ!逆にあんた授業中何やってるのよ!」「授業はちゃんと受けてるさ。けど授業のスピードが速すぎるんだよ!英語に関しては気づいたらチャイムなってるし!」僕は必死に帰ろうとする琴海をとめた。「は~...」と、琴美は呆れたようにため息をつくと、「アップルパイ1ヶ月間私にご馳走しなさい。」「うぇ?」「だから、教えてあげるから私にアップルパイのために1ヶ月間作ってきなさいってこと!」普通に考えればアップルパイ1ヶ月間分の費用で、僕のお小遣いが、パーになる所だが、「一日丸々1個じゃないよね?」「当たり前よ。一日1切れで手を打ってあげる。」「ありがとうございます!ありがとうございます!」と、土下座をして琴海に感謝した。「やめなさいって。今から始めるわよ!」ちょうどこの光景を目にした那心は「おにぃきしょ。」冷たい目をして呟き、2階に戻った。

「とりあえず国語は今回古文はないから筆記とか記号はその場で考えなさい。英語はもう今更やってもごっちゃになるだけだから記号と、文章題でとる。数学は解き方さえ出来れば大体は解けるから、数学を重点的にやるわよ!」琴海指導の元僕のテスト勉強生活が始まった。まず教科書の内容を簡単に抑え、課題プリントや、テスト対策プリントをひたすらノートに書いた。「ここの因数分解違ってる。」

「一次不等式は出来るようになったわね。次は連立不等式。縦に繋いがってる式は...」琴海の説明はわかりやすく、ペースは、決してゆっくりではなく、しかし早すぎすのちょうどいいペースで教えてくれた。あっという間に時間は過ぎ、「じゃあとりあえず今日はこれぐらいで。復習して分からないところがあったら昼休みに図書室で。」「ありがとう。ご飯食べてったら?」「家族に夕飯いらないって伝えてないから。」「じゃあ途中まで見送るよ。」琴海を見送り、家に帰った後、22時まで勉強した。もっと勉強してもいいのだが、「テスト期間は早く寝なさい。沢山覚えるのも大切だけど、沢山寝て、脳の整理をするのも大切よ。」と、琴海大先生が、別れ際に言ったため、その言葉を信じ、早めに布団に入り、寝た。

時は流れてテストまであと1週間。

「じゃあ基礎をもう1度確認するよ。」といい、琴海は問題集を渡してきた。全くわからなかった問題はいつの間にか解けるようになり、応用は、部分点を取れるぐらいになってきた。「基礎は固まってきたから次は応用をひたすら解くわよ。」まず応用の間違えたところを解き直し、今日貰ってきた応用プリントをゆっくり解き、コツを掴むまでひたすらに解いた。「あんた聞いてないかもしれないけど今回のテストの問題プリントからも出すそうよ。だからこれができれば点は稼げるの。」からこれができれば点少しは稼げるの。」この言葉を聞いた僕はまずプリントの答えを全て覚えようとした。結果。ダメでした。

「あんた何やってるのよ。」呆れた眼差しを僕に向け続けていた。「答えを全部覚えようとしました。」「呆れを超えて凄いと思うわよあんたのその頑張り。その頑張りを日常で使えばこんなことにはならないのに。」「僕は世界で1番をなのれるほどのめんどくさがり屋なんだ。そんなことしたら過労死で死んでしまう。」「はー。続けるわよ。」こうしてラスト1週間を僕は必死に勉強した。クラスの人からは「聖華が、勉強してるぞ!明日世界でも滅ぶんじゃないか。」「やっと勉強に目覚めてくれましたか。先生はとても嬉しいです!」など変な目で見られたり、先生からは泣かれるしで、疲れる1週間だった。

そしてテストの日になり、終わり、数日が経ち、結果が帰ってきた。土曜日に琴海は店を訪れ、「さぁ結果を見せなさいこれで数学赤点だったら一日アップルパイ1切れで済むとは思わないでね。まぁ1教科でも100点だったらこの話はなしでいいわ。」と、琴海は自信満々に言った。「その言葉、後悔するなよ?」そして運命の時。この日まで僕はテストが返ってきても見ずにいた。つまりこれが最初なのである。英語。30点。国語35点。科学30点。数学85点「数学はまぁ2週間でここまで行ったならいいんじゃない。」そして最後の社会社会は、現代社会そして世界史が混合でのテストだった。点数は「ちら。」100点。「なんで...なんで社会だけ100点なのよ!」正直僕も驚いた。絶対筆記辺りは間違えてるだろうと思ったが、こんな点数似たようななった。「いやー100点は1人しかいなくて100点は委員長だと思ったんだけどなー。」「おにぃは暗記だけは得意なんですよ。特に世界史。人の名前とか直ぐに覚えるし、子供の頃から世界の歴史の本ばっか読んでたんですよ。おにぃ、ロマノフ王朝が滅んだ日は?」「1918年7月17日。エカテリンブルクの、イパチェフ館で、射殺などで殺される。」「でしょ?」と、不思議そうな顔をし、那心は言った。「もう意味わかんない。」「約束通りアップルパイのことはなしで!」と、僕は勝者気分で言ったが、「まぁこれはお礼の気持ちってことで。」オーブンからアップルパイワンホールを取り出し、8等分し、琴海に1切れ皿に分けた。「期末はもっとビシバシいくからね。」「それは教えてくれるってこと?」と聞き、僕らはアップルパイを味わい、優雅な1日を過ごした。

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