第23話 セントラル

ジャパリフジを下山する一行はセルリアンと戦っていた。


サーバル「急にセルリアンがわいて出たよ」


アムトラ「セーバルが目覚めたのと何か関係があるのかな」


セーバル「セーバルにもよくわからない」


オイナリサマ「本来ならばセルリアンも避けたい場所なのですが、セーバルが目覚めたとあれば話は別なのでしょうか?」


ミミ「とにかく今は戦えないアライグマとフェネックにセルリアンを近づけないですよ。アライグマとフェネックは荷物を守るですよ」


ミミ「セーバル、危ない!」


セーバル「!」


ミミがセルリアン相手に苦戦しているセーバルをフォローする。


なんとかセルリアンを片付けた一行。


ミミ「セーバルは見た目だけでなく戦い方もサーバルとはだいぶ違うようですね」


アライさん「セーバルの耳がずいぶんと大きくなってしまっているのだ」


サーバル「あの翼って耳だったの!?」


セーバル「うん…うまくジャンプできない」


ミミ「どちらかというと私に似ているのです。荷物持ちをセーバルにまかせてフェネックかアライグマをセルリアンに当たらせるですか?」


セーバル「ううん、早くなれないと。助手、戦い方を教えて」


ミミ「そう簡単ではないですよ…とはいえそうも言っていられないのです。とりあえず助手についてくるですよ。ついてくるだけでいいのです、実地で学ぶのです。攻撃は指示があるまで行わないですよ?」


セーバル「わかった」


一同はケーブルカー駅の廃墟まで降りてきた。出発は夕刻であったが、もう深夜となっていた。


セルリアンが出迎える。


セーバルはミミの後方をぴったりとはりついて飛んでいた。


ミミ「セーバル!あいつを仕留めるです!」


セーバル「わかった!」


ミミが急反転する。その背後からセーバルがミミを追い抜きセルリアンにツメを浴びせる。


「パカァーン」


ミミ「なかなか筋がいいですよ、後はアムトラとサーバルにまかせてアライグマとフェネックの護衛にまわるですよ。助手たちは燃費が悪いので」


セーバル「わかった」


ミミ「助手は飛行組が増えてうれしい気持ちですよ。これで仮に助手が倒れても飛行型セルリアンに窮することはないのです」


セーバル「大丈夫。たぶん、そんなことにはならない」


ミミ「だといいのですが」


サーバル「あー、セーバルは飛べていいなぁ」


アムトラ「サーバル!危ない」


サーバルの背後にせまるセルリアンをアムトラが打ち砕いた。


アムトラ「サーバル、集中して」


サーバル「ああっ、ごめんねー」


何とかケーブルカー駅周辺のセルリアンを退治した一行。


オイナリサマ「さあ、ジャパリラインの駅まで戻りましょう」


そのとき、フェネックが双眼鏡をのぞきながら言葉を漏らした。


フェネック「ちょっと…あれ…ウソでしょ…」


ミミ「信じたくない現実なのです…」


フジサファリ駅から点々と橋脚を通じて草原エリアのSS天候制御場まで続くモノレール線。


その途中から草原エリア側がやみに覆われていた。


オイナリサマ「草原エリアの館が破壊されたのですか…」


ミミ「ならばなぜここらの環境は無事なのですか…この天才助手にも皆目見当がつかないのです」


アムトラ「ど、どうしよう」


サーバル「ひとまずフジサファリ駅まで戻ろう!」


アライさん「そうなのだ、駅が無事なら壊される前に戻るのだ」


オイナリサマ「そうですね、そして急いで結界を張りましょう」


一同はフジサファリ駅へ急行した。


到着するやオイナリサマはすぐに結界を張る。


アライさん「クタクタなのだ…」


フェネック「もう動けないよ…」


アムトラ「二人とも、お疲れ様…」


ミミ「みんなひどく疲れているのです…助手も。オイナリサマ…」


オイナリサマ「セルリアンの警戒は私が引き受けますので、どうぞゆっくりおやすみなさい」


サーバル「うん…おやすみ」




次の日。


サーバル「ふわぁ」


そう言ってサーバルは伸びをした。


セーバル「おはよう。サーバル」


サーバル「わっ!あっ、ごめんね。おはよう、セーバル」


アライさんたちは耳をつきあわせてなにやら話し合っている。


サーバルとセーバルもそれに加わる。


アライさん「サーバル起きたのだ」


サーバル「どうしたの、みんな」


ミミ「朝食、といきたいところなのですが、物資が残り少ないのですよ」


オイナリサマ「私が作ったとして、持ってあと二、三食といったところでしょうか」


アムトラ「もう考えても仕方がないよ」


アライさん「アライさんもそう思うのだ」


ミミ「それはそうなのですが…こほん。落ち着いて聞くですよ。オイナリサマは一人二人なら養えると思うですよ」


フェネック「まさか…」


ミミ「そのまさかですよ。最悪の場合、だれを残すか決めねばならないです…」


「…」


ミミ「とはいえ…アライグマではないですが、そんなのはそうなってから考えればよいと思うです。とりあえずけものキャッスルに向かうです」


アライさん「それがいいのだ!じゃあさっそく食べるのだ。アライさんもうお腹ペコペコなのだ」


一同はごはんを食べ始めた。


フェネック「最後のごはんになるかもしれないから味わって食べないとねー」


アムトラ「怖いこと言わないでよ、フェネック」


サーバル「そうだよー。味わえるものも味わえないよ」


オイナリサマの心は暗く沈んでいたが、笑顔でそれを無理に隠していた。


セーバル「オイナリサマ」


オイナリサマ「どうしました、セーバル」


セーバル「大丈夫。みんながいる、セーバルもいる。そしてアライさんがいる」


アライさん「ん?セーバル呼んだのだ?」


フェネック「アライさん、ボロボロこぼしてもったいないよ」


アライさん「おっと、もったいないのだ」


アライさんは落ちたジャパリまんのかけらを拾って食べている。


フェネック「もう行儀が悪いよアライさん」


アライさん「10秒なら大丈夫だと聞いたのだ」


サーバル「えー、5秒だよ」


ミミ「お前らは何を言っているのですか」


アムトラ「ふふふ」




食事を終えた一行はフジサファリ駅の出入り口に立っていた。


アライさんは中身の少ないリュックサックを背負い、首からオイナリサマのお守りを下げている。


フェネックは胸ポケットに地図とコンパスを入れいていた。


他のフレンズはみなてぶらだ。


アライさん「アライ隊、しゅっぱーつ、なのだ!」


「はーいよっ」


「おー」


目指すはけものキャッスル。

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