第21話 ジャパリフジ
ミミ「(…もはや…これまでですか……)」
(……どうしたのですか…助手…お前がここで倒れたら、ポンコツ共しか残らないのです。それこそパークの危機なのです)
ミミ「(……)」
(…お前は天才博士である私ほどではないにせよ…賢くて、何より強いのです…)
ミミ「(…ふふっ…よく抜かすですよ…)」
(天才助手…我々は森の賢者として、あいつらを導くのですよ…)
ミミ「(…)」
アライさん「あっ、気がついたのだ!」
アムトラ「助手…助手…!!」
サーバル「ミミちゃん助手!」
フェネック「ふーーーっ、」
オイナリサマ「…ワシミミズク、もう大丈夫ですよ……」
ミミ「……お前たち、ギャアギャアうるさいのですよ、頭がガンガンするのです。あっ、オイナリサマは違いますですよ…」
フェネック「ひどいなー」
アライさん「フェネックが、がんばったのだ!」
ミミ「その様子ですと…うまくやったようですね…後で話を聞かせるですよ…フェネック…どうやら借りを返されたようですね」
フェネック「そんなー、借りたり返したりなんて興味ないよー」
ミミ「そうなのです…お前はそういうやつだったです…痛たた…」
オイナリサマ「でも快方にむかってよかったです…アライさんの持ってきた応急手当品だけでは十分といえなかったのに…」
ミミ「…浄化前のエリアでもなければ、フレンズの体なら持ちこたえるですよ…」
アライさん「でも、おべんじょに水がいっぱいあってよかったのだ!オイナリサマの出してくれる量じゃ全然足りなかったのだ」
フェネック「アライさんもがんばったよねー」
ミミ「……興味深い情報を提供してくれて感謝するですよ…」
アムトラは安心したのか、うとうとしている。
サーバル「…わたしも眠くなってきちゃった…」
アライさん「フェネックもひと眠りするのだ…オイナリサマ、助手をよろしく頼むのだ」
オイナリサマ「わかりましたよ、ゆっくりお休みなさい」
次の日。
フジサファリ駅のパークセントラル側に突き出たレールの上で、サーバルが双眼鏡をのぞいていた。
モノレールは駅舎外に少し伸びた場所できれいに無くなっている。オイナリサマがそこまでしか修復できなかったのだ。
その少し内側でフェネックとアムトラが地図を見ている。
そこに、アライさんがオイナリサマの幻影とともに顔をだした。
アライさん「みんな、おはようさんなのだ」
オイナリサマ「おはよう、みなさん」
フェネック「おはよー」
アムトラ「おはよう」
サーバル「おはよ!」
アライさん「どうしたのだ、フェネック」
フェネック「やー、アライさん。今地図を見ながら周囲の地形を見てるんだけどねー、こりゃーダメだね。ここから先は地図と同じ場所を探す方が難しいよー」
アライさん「そうなのだ…それにしても不思議なのだ。こんな荒れ果てた景色なのに空気も温度も草原エリアとさして変わらないのだ」
アムトラ「そうだねー。ボクにはちょっと暑いかも」
フェネック「まだ水辺エリアの端から草原エリアの天候制御場までの距離の半分も離れてないからねー」
アライさん「でも、これならジャパリフジには行けそうなのだ!」
フェネック「…そうだねー、でも助手が回復しないと草原エリアにも戻ることもできないよー」
サーバルがぴょこんと戻ってきた。
サーバル「見わたすかぎり、ずーっと赤黒い地面が続いてるよ」
フェネック「やっぱりおかしいなー、この山は残っててもいいのに。水やその他なんて期待できそうにないかー…」
アムトラ「セルリアンはいっぱいいるけどねぇ」
アライさん「ピカピカでちょっとづつオイナリサマに作ってもらうしかないのだ」
しばらく後、フェネックが切り出した。
フェネック「…ねぇ、アライさん。助手が回復したら、みんなで草原エリアの施設に戻ろう」
アライさん「どうしてなのだ?フェネック」
フェネック「アライさん、たぶん、この場所がアライさんの言う行きつくところだよ」
アライさん「ふぇ?まだジャパリフジがあるのだ、セーバルだって待ってるのだ!」
フェネック「…うーん、そのセーバルって子、セルリアンなんでしょ。セルリアンは私たちの敵だよー?」
アライさん「セーバルはもうセルリアンじゃないのだ!」
フェネック「アライさーん、それがよくわからないなぁ。セーバルの話だってオイナリサマ自身も聞いただけのうわさ話なんでしょ」
フェネック「セルリアンでないにしろ、あの場所で眠っているとかちょっと普通じゃないよ。ひょっとしたら、セーバルがジャパリフジを噴火させたのかもしれないよ?」
オイナリサマ「そんなことは…ないと思います…」
アライさん「そうなのだ!絶対にありえないのだ!」
フェネック「…アライさん、絶対なんて言葉は軽々しく使うもんじゃないと思うよ」
アライさん「アムトラはどう思うのだ」
アムトラ「ボクはアライさんの行くところだったらどこへだって行くよ」
アライさん「サーバルはどうなのだ?セーバルはサーバルの大事なトモダチなのだ」
サーバル「えーっ…突然そんなことを言われても」
オイナリサマ「アライさん、サーバルは…」
そこにミミがやってきた。
ミミ「お前ら、心配は無用なのです」
フェネック「助手、動いても大丈夫なの?」
ミミ「構内を歩くだけなら問題ないのです。助手は賢いので自己管理も完璧なのです」
ミミ「アライグマ、助手はお前にとことんつきあってやるですよ。感謝するです」
アライさん「おぉ…おぉ…感謝感激なのだ!」
フェネック「…」
ミミ「戻りたいフレンズは助手が責任をもって送り届けるですよ。助手は責めないです。むしろ戻るべきだと考えるです。オイナリサマもこの先は修復すべき施設もなさそうなので、一緒に行ってあげて欲しいですよ」
フェネック「…やー…それじゃ意味がないなぁ。わたしが戻って欲しいのはアライさんだからねー」
アライさん「フェネック、まだそれを言うのだ?」
サーバル「わたしは…えっとぉ」
フェネック「サーバル、戻るなら一緒に行くよー。サーバル一人にさみしい思いはさせないよー」
アライさん「サーバル、戻るのがいいとアライさんは思うのだ…」
サーバル「ううん、一緒に行くよ!セーバルはわからないけど…みんなはわたしの大切なトモダチだから!」
アライさんはうれしそうな顔を隠そうともしない。
ミミ「…気が変わったらいつでも言うですよ」
ミミが回復するするまでの数日間、一行はジャパリフジを登るための準備を進めた。
アライさん「このシャッターのむこうからいいにおいがするのだ。オイナリサマ、開けられないのだ?」
オイナリサマ「やってみましょう。
シャッターが開き始めた。
「おぉ!」
シャッターのむこうはこの駅舎の売店であった。
おみやげのお菓子やありきたりなグッズの他にいくつかのジャパリフジの登山道具もあった。
アライさん「ふおぉ!」
フェネック「やー、アライさんもトレジャーハンターが板についてきたねぇ」
アライさん「何を言っているのだフェネック、アライさんはもともとプロなのだ」
アムトラとサーバルは外でセルリアン退治をしてサンドスターを集めていた。
それをもとにオイナリサマが水とジャパリまんを少しづつ作っていた。しかし、駅舎の貯水槽の水とあわせても減る一方であった。
オイナリサマ「アライさんが食料を見つけてくれたおかげで、水の消費をおさえることができそうです」
ミミ「とはいえお菓子ばかり食べていては体を壊してしまうのです。水辺エリアに戻る選択も考えれば長居はできないのです」
フェネック「助手は体を休めるのに集中してよー」
アライさん「ジャパリまんは助手が優先的に食べるのだ」
ミミ「言われるまでもないのです。ジャパリフジを登るのは一回限りにするですよ。あとジャパリまんは平等に食べるですよ。だれが倒れても一大事なのです」
そして、ついに登山を決行する日がやってきた。
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