第16話 サーバル
アライさんとアムトラに抱えられたサーバル、そしてオイナリサマがSS天候制御場に近づくと、ミミが大型セルリアンと戦っていた。
周囲にはサンドスターが散らばっている。
オイナリサマの結界を失った施設をセルリアンが襲撃していたのだ。中にはフェネックがいる。
アライさんが素早く近づき、大型セルリアンを背後から襲う。
アライさん「アライさーん!ハイパースペシャルマッハパーンチ!!」
大型セルリアンは砕け散り、そこにサンドスターが残った。
アライさん「助手、大丈夫なのだ?」
ミミ「問題ないですよ。この建物はここいらで一番高いですからね。上にいれば近づいてくるセルリアンなど丸見えなのです。助手は賢いばかりでなく目もいいので」
ミミはサーバルを抱えたアムトラを見た。
ミミ「ふむ、どうやらうまくいったようですね」
一行は施設の中へと入っていった。
オイナリサマがすぐに結界を張りなおす。
フェネックがベッドの上で上半身を起こしたまま言った。
フェネック「やー、どったんばったん大騒ぎだったねー。おや、その子は」
アムトラの腕に抱えられたフレンズを見て言う。
アライさん「サーバルなのだ」
ミミ「セーバルのオリジナルのようなのです」
アムトラ「ここでいいかな?」
アムトラは、フェネックの隣のベッドにサーバルを寝かせた。
しばらく後…
サーバル「?」
サーバルが目を覚ました。横でアライさんが寝ている。
アライさん「ZZZ…すぴー…お宝発見ーなのだ…」
サーバルとアライさんのベッドをはさんで、フェネックのベッドと、アムトラとミミの寝ているベッドがある。
サーバル「(くんくん、この子だれだろー)」
本来ならばその様子にいち早くフェネックなりが気づくはずだが、疲労とオイナリサマの結界とその存在によって緊張の糸が切れていた。
サーバルはその長い耳で周囲の様子をうかがう。
サーバル「(お腹すいたよー、ん?あっちの方からいいにおいがするよ)」
サーバルは机のうえのバスケットに入ったジャパリまんのにおいを嗅ぎつけた。
サーバルはベッドから降り、バスケットのジャパリまんに手を伸ばす。
オイナリサマがゆっくりと姿を現した。
サーバル「!!うみゃあぁぁぁ!」
フェネック「!!」
アムトラ「びくっ!」
ミミ「…なんなのです…騒々しいのです」
アライさん「すぴー」
そして、さらに数時間がたった。
アライさん「ふわぁぁぁ…」
サーバル「おはよ!」
アライさん「むにゃ、サーバルか…おはようさんなのだ」
サーバル「すっごーい!本当にこの子わたしのこと知ってるみたい!」
フェネック「キミがサーバルなのはみんな知ってるよー」
アライさん「ふむぅ、そうだ、サーバルはアライさんのことを知らないのだったな。
アライさんはアライさんなのだ」
サーバル「わたしはサーバルキャットのサーバルだよ!よろしくね!あのぉ…えっとぉ…なんかごめんね!」
アライさん「サーバルがなぜあやまっているのかアライさんには全然わからないのだ。ふっふっふっ、サーバルが仲間に加わって、アライさんたちの無敵がさらなる高みにのぼったのだ!」
ミミ「ふむ、全体の知能が下がったような気もするですが。まあフェネックが復帰すれば少しはましになるでしょう」
サーバル「ええっ!ひどいよ!」
アムトラ「アライさん、ボクたち、一足先にごはんにしてオイナリサマたちとサーバルとお話してたんだよ」
アライさん「おぉ、そうなのだ?アライさんもサーバルとお話したいのだ。あとごはんも食べたいのだ」
オイナリサマ「こちらへいらっしゃい、お茶も入れましょう」
アライさん「(がぶがぶがぶ)」
フェネック「いやー、アライさん豪快な飲みっぷりだねー」
アライさん「そういえばフェネックはあまりお茶を飲まないのだったな。でも、少し多めに飲んでおいたほうがいいのだ。フレンズの体は、けものとはちょっと違うのだ」
フェネック「やー、わかったよー」
アライさん「サーバル、それでな、そのときアライさんの見つけたお宝を見せると、みんながアライさんをほめたたえたのだ。賞賛の
サーバル「えーっ、それだとさっきの話とかみあわないよー」
ミミ「アライグマ、そこは、サーバルがつるんでいたのがお前らなのか、カラカルというフレンズなのかさっぱりわからないのです。あと、どこまでが本当で、どこからが脚色なのか判断がつかないのです」
フェネック「まーまー(わたしがアライさんといつも一緒にいたってのは間違いないみたいだねー)」
アライさん「そうだ…そんなことよりアライさん、サーバルに謝らなきゃならないのだ…アライさん興奮して、わざでサーバルを傷つけて…ごめんなさいなのだ…」
サーバル「えっ、突然なに言い出すの、アライさん」
オイナリサマ「アライさん、そこまでにしましょう。あなたはかなり記憶が混乱しているようです。落ち着いて頭を
ミミ「じゃあ話を戻して、セーバルは今もジャパリフジの火口で眠っている可能性が高いそうなのです。もっとも、オイナリサマも伝聞、直接見たわけではないのでなんともですが」
アライさん「たぶん、サーバルなら起こせると思うのだ」
サーバル「うーん、わかった、やってみるよ!」
オイナリサマが切り出した。
オイナリサマ「みなさん、サンドスターを集めてきていただけますか?サーバルをフレンズに戻すのに使い過ぎて、残りが心もとないのです」
ミミ「かしこまりましたですよ。せっかく人数が多いのです。オイナリサマの結界があるとはいえ巨大セルリアンが出ないとも限らないので、回収に行く班と、施設を守る班、二手にわけるですよ」
アライさん「アライさん、ここに残りたいのだ」
ミミ「宝探しをしたいのですね」
アライさん「それもあるけど…フェネックと一緒にいたいのだ」
フェネック「アライさん…」
アムトラ「じゃあボクは外に行くよ」
ミミ「では…サーバル、アムトラと行けるですか?戦力的に助手はここに残ることになりそうですよ。この高い建物は好都合ですし」
サーバル「わかった!まかせて!」
アライさん「じゃあお守りをアムトラに預けるのだ」
アムトラ「うん、なくさないように気をつけるよ。サーバル、ネコちゃん同士がんばろう」
サーバル「アムトラ、よろしくね!」
ミミ「アムトラ、頼むですよ。この環境でお前がセルリアンに遅れをとることはないでしょうが、サーバルはフレンズになって間もないです」
アムトラ「うん、わかった」
出入口から外へ出る二人。
サーバル「よーし、やるぞー!」
サーバル体を左右に振っている。
アムトラ「ふふふっ、ボクについてきてね」
そう言って、二人はセルリアン狩りに出発した。
フェネック「さて…」
フェネックは両手の包帯を外し始めた。
アライさん「フェネック、大丈夫なのだ?」
フェネック「うん、もうだいぶいいよー。寝てるのは好きだけど、体がなまっちゃうからね」
包帯を外し終わったフェネックはベッドから降りる。
ミミ「無理するでないですよ」
フェネック「へーきへーき、アライさん、宝探しするんでしょ、つきあうよー」
アライさん「おぉ、つきあうのだー」
ミミ「(そのほうが安心ですね…)アライグマ、何か見つけたら助手にも見せるですよ」
アライさん「わかったのだ!楽しみに待ってるのだ。タライを一つ借りるのだ」
アライさん「ふんふふーん、おぉ、この部屋はお宝のにおいがぷんぷんするのだ」
フェネック「やー、これは部屋じゃなくて階段だねー。でも変だよ…ここ地上なのに下り階段があるなんて」
アライさん「ふっふっふっ、やはりアライさんの目に狂いはなかったのだ。ものすっごいお宝は、往々にしてこのような場所にあるものなのだ」
フェネック「アライさーん。この階段はどこまで続いんてるんだろーねー」
アライさん「んー、アライさんもわからないのだ。クンクン。何だか変な臭いがするのだ」
フェネック「なんかくっさいよー。というか、かいだことがあるよーな」
アライさん「ふおぉ!これは」
フェネック「げげ」
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