第7話 再会

アライさんとオイナリサマは建物の外へ出た。


アライさん「ふ、ふおおおおぉぉぉおお!!!キレーなのだ!すごいのだ!!」


オイナリサマ「ここは水辺エリアだったようですね…アライさん…小さいながらも森林もあり、あなたが暮らすのには十分な場所です…うっ…うっ…苦労したかいがありました。本当にがんばりましたね…アライさん」


アライさん「オイナリサマ、ありがとうなのだ!おぉ、この木登ったら楽しそうなのだ!って、こんなことをしている場合ではないのだ、フェネックのとこへ戻るのだ」


オイナリサマ「その前に、大将格のセルリアンの破片を集めてまわっていただけますか?このままではアライさんとの会話もままならなくなるやもしれません」


アライさん「そんなに消耗していたのだ?大変なのだ。わかったのだ、アライさんにおまかせなのだ!」


巨大セルリアンであったサンドスターを回収し、SSプリンターの小屋にあった地図を広げてコンパスを合わせるアライさん。


アライさん「よーし、こっちなのだ」


砂漠エリアに向かって走り出した。


アライさん「うーん、この地図もちょっと地形と違うみたいなのだ」


オイナリサマ「そのようですね…」


アライさん「でも砂漠エリアに行くぶんには問題ないと思うのだ」


前方に、砂漠エリアの陽炎が見えてきた。


アライさん「フェネックー、どこなのだー」


その声に反応したのか、周囲のセルリアンが集まってくる。


アライさん「邪魔なのだ!」


アライさんがセルリアンと戦い始める。


オイナリサマ「水辺エリアに入る前の砂漠エリアはこれほどセルリアンはいなかったはず…」


アライさんがセルリアンを片付けると、オイナリサマが叫んだ。


オイナリサマ「アライさん、あれは!」


オイナリサマが指さした先には、フェネックのジャパリまんが入っていたタライが落ちていた。


急いで駆け寄るアライさん。


アライさん「まだ何個か入っているのだ」


アライさんは周囲を見わたすと、周囲に足あとがたくさんあることに気がついた。


アライさん「クンクン、これはフェネックの足あとなのだ。セルリアンに襲われたようなのだ」


オイナリサマ「フェネック…無事だといいのですが」


アライさん「この足あとをたどっていくのだ」


はやる気持ちを抑えながら慎重に足あとをたどっていく。


途中、足あとが方々に散っておりセルリアンとの戦いがあったであろうことがうかがえた。


オイナリサマ「アライさん!あれ!」


アライさん「あれはオイナリサマのほこらなのだ、セルリアンが囲っているのだ!」


ほこらから時折サンドスターが飛び散っている。


オイナリサマ「アライさん!」


アライさん「まかせるのだ!フェネックー!!アラーイさーん!!ダブルミラクル回転パーンチ!!!」


特にネーミングを構成している要素はみつからないジャンプパンチがセルリアンの群れに炸裂さくれつする。


弾け飛ぶセルリアンによって空いた穴から、フェネックが飛び出してきた。


アライさん「フェネック!?ボロボロなのだ、しっかりするのだ!」


フェネック「アライさーん…遅いよー…待ちくたびれてセルリアン相手に遊んじゃったよ…」


オイナリサマ「アライさん、周囲のセルリアンをせん滅してください!」


アライさん「りょーかいなのだ!」


セルリアンを排除したほこらに、アライさんはフェネックに肩を貸して連れ込む。


オイナリサマは結界を張った。


アライさん「オイナリサマ、フェネックは、フェネックは大丈夫なのだ?」


オイナリサマ「かなり疲労してはいますが、命にかかわるような傷はないようです…

ですがフェネック、ひとりぼっちっで戦って、さぞ辛かったでしょう…」


フェネック「やー…大丈夫だよー。時間さえ稼げば、きっと助けにきてくれるとわかってたし」


オイナリサマは水辺エリアでの薄氷の上を渡るような探索を思い出す。


フェネック「オイナリサマのおかげで助かったよー」


そう言ってカーディガンをたくしあげると、ジャパリまんがコロコロと出てきた。


オイナリサマ「…ともかく、無事でよかったです」


フェネック「それにしてもびっくりしたよー、アライさんたちが隣のエリアに入るのと入れ替わりに、セルリアンがたくさん出てきたからねー、アライさんたちは大丈夫だったのー?」


フェネックはアライさんの腕にまだ残る包帯の切れ端やまだズタズタの残る服、もとい、けものプラズムを見てそう言う。


アライさん「そうだ、フェネック…磁石を返すのだ…ちょっと違うのになっちゃったけど…ごめんなさいなのだ…」


フェネックがコンパスとアライさんの顔を交互に見て、そして笑いだす。


フェネック「あはは、この方位磁石、見ない間にずいぶんと立派な姿になっちゃったねー」


フェネックはくすくすと笑いながらコンパスを興味深そうに見ている。


オイナリサマ「…とりあえず、うまくいくにはいきました」


アライさん「そうなのだ、オイナリサマがすごかったのだ。山のようにでっかいセルリアンをブッ倒したのだ!」


フェネック「おぉ~」


オイナリサマ「それは、正確な説明ではないですね…ともかく、フェネックは眠れていないのではないですか?」


フェネック「そうだねー、このほこらに逃げ込んでから少し眠ったけど、セルリアンにたたき起こされちゃったから、もう少し寝かせてもらうよー」


アライさん「そういえばアライさんも眠いのだ…」


オイナリサマ「二人とも、ゆっくりとおやすみなさい…」

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