今日は、学校でゆみみと絵しりとりしたよ!。

3組の伊藤くんカッコいいー!

給食のフルーツポンチが美味しかった!

全部を聞いて欲しくて ディナーの時にはお喋りなオウムみたいにピーチクパーチク口を動かす。

パパとママはニコニコしながら私の話に耳を傾けるの。私のしあわせな時間。

中学二年生、みんなは反抗期みたいだけど私はパパもママも大好き。

でもね、1つだけ誰にも秘密のもう1つの幸せな時間が私にはある。

「ご馳走さまー!!ママ今日もとっても美味しかった。ママの料理は世界一だね!」

「ははは、そりゃパパのお嫁さんだもの。最高に決まってるだろ?」

「もー、パパもあかりもどうしたの? お小遣いなら上がりませんからね!」

「えへへ、失敗!じゃあ私、部屋に戻るね。おやすみパパママ」

背中で二人の声を聞きながら小走りで部屋に入る。


お気に入りの芳香剤の香りを、いっぱい吸い込んで音楽をかける。

今日は何を聞こうかな?甘酸っぱい片思いの歌なんてあの子は嫌いだろうな。

校則違反なのは知ってるけど、いつもつけてる革紐を通した自作のネックレスを首から外す。

トップには銀色に輝く、ありきたりな鍵。

それを使って、私の宝物と対面する。

「おい、ふざけるな。今日は随分遅かったな。危うく考えるだけのBlueに成り下がるところだったぜ」

毎日見てるのに、やっぱり不思議。

「体が青いから?今日も面白くないね、青ちゃん」

「てめぇを笑わせる為に言ってるわけじゃねえんだよ。嫌味だよ、嫌味」

「ああ、なるほど!寂しかったから拗ねてるんだね。かわいいとこあんじゃん」

「話を聞け、.....ああ 俺に足があったらこんな所すぐに出て行ってやるのに」

「無理だよー 青ちゃんはふわふわ風に乗ってどこかへ行けても、どこにもたどり着けないもん」

「うるせえ、俺が一番気にしている事をズケズケと言葉にするな!デリカシーねえな、だから彼氏も出来ねえんだよ」

「そういう青ちゃんもデリカシーない!気にしてるのにー」

「...嘘だろ?」

「バレちゃった?全く気にしてない!あはは」

「全くお前はどうしょうもねえな。あれはどうなったんだ?麗しの君、加藤だか佐藤だか」

「伊藤くん!!」

「ああ、そんな名前だったな」

「わざとでしょ?」

「俺には考えることしかやる事がねえんだ、お前のそのどうでもいい話に使う頭の容量は残ってねえんだよ」

「嫌味が詰まってる部分を削ったら?」

「安心しろ、今のも嫌味だ。で、伊藤くんとはどうなんだよ。俺心配してんだぜ?毎晩、スマートフォンを触ることも無く 眠るまで俺と話してて、うら若き乙女のする事じゃねえぞ」

「青ちゃんが心配してくれてる?あはは、どうしたの?珍しいー」

「真剣に、だ。お前の青春それでいいのかよ」

「上手くやってるから大丈夫!青ちゃんと居ない時はちゃんと夜は短し歩めよ少女!だもん」

「お前今日も面白くねえな」

「あはは、ひっどーい。青ちゃんお腹は空いてない?」

「丁度24時間と50分ぶりの食事にありつけるとしたら有難いことだな。ほら、頼むよ。美味しいの今日も作ってくれ」

「嫌な言い方」

「謝りはしないぜ、ほら話せよ」

「うん...えへへ、じゃあごめんね。今日学校に不登校だった美空ちゃんが来たの」

「ああ、前に言ってた 学校に来なくなったお前の友達?」

「うん、その美空ちゃんがこっそり保健室でお勉強してたみたいなの。全然知らなくて、ゆみみと他の子何人かで絆創膏貰いに行ったら会っちゃって」

「うん」

「私は嬉しくなっちゃって、美空ちゃんに話しかけたの。こんにちは、教室には来ないの?って。そしたらゆみみや他の子が あかりやめなよ、そんな暗い奴いたら教室も暗くなるわとかなんとか酷い事を言いだしちゃったの。そんな事ないよって言うのに 私が言えば言うほど、みんなの言葉も汚くなって..わたし..酷い事し..しちゃったみたい」

「...ほら、俺を持ち上げて その涙食わせてくれよ。腹が減って堪らないんだ」

「う..うん!ほら、青ちゃん..えへへ..たあんとお食べ」

「今日の涙は少し薄いな」

「んーっ!くすぐったーい。薄いのかぁ、私には分からないけどなんでだろう」

「まだ言ってない事があるな?」

「....バレちゃった、でもこれはね涙が出ない話かもしれない」

「いいから、最後までちゃんと話せよ。聞いてはやるから」

「うん。その時のね、美空ちゃんの目がまだ消えないの。真っ暗だった。肌は真っ白なのに、だから余計に目が真っ暗で。私ね、その目をみた時に ああ可哀想にって思っちゃったの。可哀想って。それがたまんないくらい嫌だった」

「俺に人間の事は分からないけど、お前がどうにかしたけりゃ変えられる事じゃねえか。なにを今日で終わりみたいな顔してるわけ?明るくて馬鹿なのが長所なのにそれが無くなったらお前は何者になるんだよ」

「励ましてくれてるの?」

「さあ」

「あはは、そうだね。うう...あは..うん、ありがとう青ちゃん」

「...こっちの涙の方がずっと美味え。俺の腹の為に出した言葉だよ。勘違いすんなよ、気持ち悪い」

「もー青ちゃんはまたそんな事言って。でもありがとう。ふぁーあ。眠くなってきちゃった。そろそろ寝るね」

「腹も満たされたし、俺も寝るか。おやすみ、クソガキ」

「おやすみくらい普通に言ってよ!あはは、おやすみ青ちゃん!また明日ね」

返事はない。あまり揺らさないように、引き出しを閉めて鍵をかける。

明日はどんな日だろう、キラキラと楽しい事ばかりだと良いと思う。パパとママの喜ぶ私。

でも、やっぱりそんな素敵だけの日なんて無いから 明日も青ちゃんとの時間は宝物のままなんだと思う。


やっと耳に届いたBGMが「大切の意味に気づいていく」なんて言ってる。

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