娘と酒 ①
女である自分には、父も母も関心を持たなかった。居場所はどこにもなかった。跡継ぎとなれるのは『男』であるからだ。
気が付いたのは弟が生まれたとき。
生まれた弟を抱いた母の誇らしげな顔。
部屋の隅に居る自分には一切目もくれずに弟に向ける父の眼差し。
『この二人には私がいてもいなくても同じなんだ』と悟った。
だから私も両親の事はどうでもいいと思っていたけれど、酒造りは別だった。
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