第9話 かっとばすなぁ!

『よし、行くぞぉ!車に乗れ。』

『はぁ、あんまり、のらないなぁ…』

『いいからぁ、とにかく乗って。』

『わかったよぉ…』

『よし、かっとばすなぁ!』

『えぇ、止めてくださいよ…安全運転でお願いします。かっ!とばすなぁ!って』

『16時に予約しているから、間に合わないと無駄なお金がかかるからなぁ…』

『はぁ、なら時間をずらせば良いのでは?』

『ちくしょ、渋滞だなぁ…まいったなぁ。』

『イライラしないで下さいよぉ…17時に変更しておきましたよぉ。』

『えぇ、いつの間に…』

『何か、イライラすると疲れません?では、寝ます。着いたら、起こして下さいねぇ…』


『おい、起きろって…着いたぞぉ。』

『あぁ…マジかぁ、入れ替わっているなぁ…』

『はぁ〜良く寝たなぁ…どこ?』

『フィトネスだぁ!』

『今日は身体が軽いなぁ…』

『そりゃ、そうだぁ。』

『ほらぁ、着替えなぁ…』

『ちょっと、俺のは4Lだよぉ。さすがに、Mは無理だって…』

『マジかぁ、まだ気付いてないのかぁ?鏡見て見ろって…』

『こうかぁ?えぇ?えぇ!変わっているじゃん!』

『えぇ?どう言う事?』

『おまえが寝たら、身体が入れ替わるんだぁ…1時間以上寝たからなぁ…知らなかったのか?』

『俺も最近、気がついたからなぁ…心配はしていたけど…まさか、1時間で入れ替わるとはなぁ…』

『おい、お前が受付に行って来いよぉ。』

『あぁ…そうだねぇ。あのぉ、予約してました。』

『あぁ…坊っちゃま、こちらです。フロアーごと貸し切りにしております。追加料金はかかりませんので、どうぞ。』

『あぁ…お連れ様もこちらへ』

『はぁ…ちょっと、動いただけで…絞れるような汗って尋常じゃないなぁ…』

『こっちは軽くて最高ですよぉ。』

『そりゃ、そうだろうけど…』

『あぁ…もうそのぐらいにして下さいよぉ。』

『何、言ってるんだぁ…この肉落とさない訳にはいかないからなぁ…』

『いやいや、やめて下さいよぉ。』

『この後、疲れが出ますから…』

『その為に、やっているんだよぉ!』

『2週間ぐらいは筋肉痛と疲労感で寝てもらわないときついからなぁ…』

『今日みたい、1時間も経たないで入れ代わったら、参るからなぁ…』

『ちょっと、本当に辞めて下さいよぉ。』


『あぁ…どうされましたか?坊っちゃん?』

『そろそろ、フィットネスは終了して、いつものレストルームで休むとするよぉ。』

『ちょっと、待て!まだまだやるぞぉ!』

『あのぉ…お連れ様、坊っちゃんが言ってますので…お辞め下さい。』

『あぁ…ちくしょう!こやつの身体じゃなければ…』

『あのぉ…お連れ様?何か言われましたか?』

『いえいえ…』


『あぁ…疲れたなぁ…』

『おい、おい、今日はいつもの半分以下だぞぉ…』

『えぇ…本当ですか…?』

『そうだぞぉ…ってもう寝てるのか?』

『ふぅ…もとに戻ったなぁ…良かった。』

『よし、これで2週間は起きないなぁ…良かったって…ならないなぁ…』

『あぁ…坊っちゃん、どうされましたか?』

『連れをこの住所に運んでおいてくれ。』

『はい、かしこまりました。』



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る