5・古泉一樹

 そこに現れたのは……

「ドーモ、小泉一樹ッス。ヨローッス。ウィー」

 背の高い、ガングロ パツキン ロン毛のチャラ男だった。

 先生は彼の登場に喜んで、

「彼が古泉一樹役をしてくれる逸材だ」

 その先生に私は、

「古泉一樹って、私みたいに名前が一緒だから選んだんですね」

 ガングロ パツキン ロン毛のチャラ男がパタパタと手を振って、

「ちょっと違うッス。説明するッス」

 そしてホワイトボードに自分の名前を書いた。

 小泉一樹。

「コイズミのコの字が違うッス。元総理と同じ字の小泉ッス」

「なんか二次創作でよくある間違いみたいだなおい」

「涼宮ハルヒの憂鬱なら、アニメ全部見てるッスよ。従兄にオタクがいるんスけど、そいつの薦めで観たッス。自分と同じ名前の奴が登場するって薦められたッス。面白かったんでー、古泉のマネして敬語の練習したッス。だからタメ歳にもナチュに敬語で話せるッスよ。どーッスか。自分の敬語、うまいっしょ。ウィー」

 ガングロ パツキン ロン毛のチャラ男の自己紹介を聞いた私は、先生に質問する。

「それで、このチャラ男のどこに朝日先輩が気に入る要素があるんですか」

「うん。小泉君、説明してやってくれ」

「うーッス。俺ぇ、こー見えてもー、実はー、中学の時にー、八人もヤッテるんスよ。だからー、テクには自信あるッス。だからー、ヤリたくなったらいつでも声かけてくださいッス。ウィー」

 と、八坂くんにヤってる自慢をした。

 それを聞いた八坂くんはイラッとした表情になり、

「先生。俺、こんな奴を部に入れるなんて反対です。こういうヤってる自慢が俺は一番嫌いなんです。こんな奴を入れるなら、俺は入りません」

 ガングロ パツキン ロン毛のチャラ男は八坂くんの肩に腕を回して、自分に引き寄せると、

「まーまー、そー言わずに。ヤッテみれば世界 変わるッスよ。初体験なら自分に声かけてくださいッス。いつでもオーケーッスから」

「おまえみたいな奴の紹介なんていらん! 自分の相手くらい自分で見つける!」

「そーゆー堅いところも自分の好みッス。真面目人間ほど一回気持ちよくなるとはまるッス」

「ホンット ムカツクなおまえ」

 どうしよう?

 八坂くん、気付いてない。

 このガングロ パツキン ロン毛のチャラ男のヤリチン、八坂くんを誘っているということに。

 そしてふと朝日先輩を観ると、

「はあ……はあ……はあ……」

 と、変な荒い呼吸をしてよだれを垂らしていた。

「……チャラ男と中性的な美少年のカップリング。ウヘヘヘヘヘ……」

 その瞳はギラギラと輝いているのに澱みきっていて、腐臭まで漂ってきた。

 私は先生に、

「まさか朝日先輩って……」

「学校じゃ有名な腐女子なんだ」

 やっぱり。

 そしてその朝日先輩は先生に、

「先生、私 この部に入ります。ぜひ 入らせてください」

 八坂くんがその言葉に驚く。

「未玖ちゃん先輩! なんで入る気になってるんですか?! こういうチャラ男がタイプなんですか?!」

 なんか朝日先輩に変な呼び方している八坂くん。

 そして朝日先輩は、

「キョン君、小泉君から私を守るには、キョン君がこの部に入るしかありませんよ」

「わかりました! 俺もこの部に入って未玖ちゃん先輩を守ります!」

 そして先生は大喜び。

「そうか! 二人とも入ってくれるんだね! これでメンバーが揃った!」

 大喜びの先生に私は、

「いや、八坂くんのケツが危険なんですけど、それはどうするんですか?」

「先生は青春のために悪魔に魂を売る所存だ」

「ああ、そうですか」

 ダメだ この先生。

「よーし! これでSOS団発足だ! みんな 頑張るぞー!」

 と先生が腕を上げると、私以外の皆も腕を上げる。

「「「「おー!!!!」」」」

「涼宮君 どうしたんだい? ほら、君も一緒に。頑張るぞー!」

「お、おー」



 キョン役。中性的な美少年でタイプだったのにロリコン。

 長門有希役。童貞大好きヤリマンビッチ。

 朝比奈みくる役。年上非合法ロリの腐女子。

 古泉一樹役。ガングロ パツキン ロン毛のチャラ男のヤリチンBL。

 担任。過ぎ去った青春を取り戻すために悪魔に魂を売ったダメ教師。

「いやー、楽しい予感で一杯だね、涼宮君」

 なんて先生は喜んでいるけど、私は胸中 叫んだ。



 不安しかねぇえええー!!



 涼宮ハルヒの青春どこへ行く?

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涼宮ハルヒと同じ名前なので 冗談で例の自己紹介をやったら ホントにSOS団をやることになったんだけど どうしよう? 神泉灯 @kamiizumitomo

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