青春 23

もう語ることは、ほとんどない。


その時僕は、美津子に新しい彼氏が出来たことを悟った。


大阪へ帰る時、美津子は見送りに来た。


悲しい別れだった。


その後、何回かの手紙のやりとりがあった。


そして現在に至っているというわけだよ。


「さあ、これで全部話した。なんだか肩の荷がおりたような気がするよ。話すと言うことはいいもんだね。でも、つまらない話を長々と聞かせて、すまなかったね」


「そんなことはないよ」


村上が答えた。


店内には人もまばらになり、ウエイトレスも二人の方を気にしだした。


二人が余り長くいるせいだろう。


「帰るか?」


村上が言う。


二人は喫茶店を出た。


春になったというのに、風は冷たく、二人は思わず肩を丸めた。

終わり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

青春 ミッソー @mittsoo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る