正解

 二人の人がいる。


「私の学校では自慢は愚かな事でした。調子に乗る人を誰もが嫌いました。自分に出来ない事を出来る人は侮蔑の対象です。それが出来て何になるんですか、将来それを目指すわけでもない癖に。愚かです。貴方はどうせ、それで悔しがる私達の顔を見て楽しむんでしょう。ばーか」


「私の学校では自慢は愚かな事ではありません。その人はそれが出来て嬉しかったんだと思います。だから言いたかっただけ。それに、実際凄い事をしてるし、頑張ってる。それを褒めないで、いつ褒めてあげるんですか? 私達の間では自分達が出来ない事を出来る人は尊敬の対象です」


「何、綺麗事を言っているんですか。本当は悔しい癖に。腹立ってきません? 鼻の下延ばしてドヤ顔で私達の事を見下してくるその態度。私達の事、ゴミカス程度にしか考えていないんですよ。羨ましがられるのを人生の生き甲斐にして、調子に乗ってるんですよ。はいはい、どうせ貴方にとってゴミカスですよ」


「心が寂しい人ですね。もっと素直に考えられないんですか? 優位に立って貴方を見下したいんじゃなくて、素直に褒めて欲しいんですよ。それを理解しないで一方的にその人の事を責め立てるんじゃあ可哀想ですよ。貴方だって嬉しかった事、認めて欲しい事の一つや二つあるでしょう?」


「そんなの、認めてくれなかった癖に! 調子にノンナ! カス!!」


「聞く耳を持たない愚かな下等民、それだから視野が狭いんですよ、カス!!」


 正解はどっち。

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